★公開日: 2022年5月26日
★最終更新日: 2022年5月27日
毎週水曜日は、ウィークリーニュースチェックの日。
出来るだけ、ここ一週間くらいに起こった食品衛生界隈のニュースをピックアップしていきます。

はい、助手を雇いました。笑
食ネコ。食品衛生に詳しいうちのサポートヌコ役ってことで、時々顔を出しては、ポイントを伝えてくれたり、時に相談役までこなします。
今後共によろしくです。
Contents
森永のヨーグルト、大腸菌群混入リスクで自主回収
いやあもう。今週は主役級の大きなニュースが、どどどーっと入ってます。
なので手際よく、ちゃっちゃ進めていかんと片付かんので、しょうもないこと言っとらんで始めますよ。
ねぇねぇーUNIQLO×マルニ何買ったー?とか余計なおしゃべりはしませんからね!
てなわけでー、1つ目。
すみません、
先週、ドタバタしてたせいか、これちょっと見逃してました。
つい昨日まで豆乳の腐敗変敗扱っていたのに、です…。
というわけで、乳業大手の「森永乳業」さんがヨーグルト内に大腸菌群の混入の可能性があるとして、製品の自主回収を発表しました。

【森永、ヨーグルトを自主回収 大腸菌群混入の恐れ】
(2022年05月19日)
森永乳業は19日、「トリプルヨーグルト砂糖不使用 カップ製品 100g」に大腸菌群が混入した恐れがあるとして自主回収すると発表した。
対象は2022年6月4日が賞味期限の1870個で、関東を中心とする1都8県に出荷された。これまでに健康被害の報告はないという。…(以上引用)
(東京新聞)
はい、こちら。

お、早速のサポート乙です、食ネコ。
そう。
当然ながら、ここに来てこれを読んでいるような読者の方々なら、これを読んで「そんなものが入るなんて、けしからん!」だの、「ええ、森永のヨーグルトって汚いの!?」だの、「食べたら食中毒起こすの!?」だの、そんなことをのたまう方はいませんよね?
……いや、ホントに大丈夫です…よ、ね?
頼みますよ?
まず、第一に製品に大腸菌群が混入していたわけではありません。
法令規定以外の自主検査で、大腸菌群の可能性、つまり陽性が出たということ。
これがどういう検査で出たのか、までは書かれていませんが、まあ普通に考えて、回収にまで至るということは場内設備の拭き取り検査などではなく、ストック製品から陽性が出たのでしょう。
さて、「ヨーグルト」について、少しばかり解説します。
乳製品の法規といえば、厚生労働省による食品衛生法上の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」…ていつも長ぇーよ、所謂「乳等省令」です。
ここにヨーグルトもまた規定されているわけなんですが。
日本においては、そもそも「ヨーグルト」という名称は乳等省令にありません。「発酵乳」という扱いにされています。
そしてその「発酵乳」における成分規格は次のようになっています。
発酵乳の成分規格 |
|
とまあ、こうヨーグルトは決められているんですね。
だからもし製品から、つまりは出荷したものから「大腸菌群」の陽性が出たなら、これは確かに法令違反です。
となると市場に出すことは出来ないので、食品衛生法違反品として回収対象となるでしょう。
でも今回出たのは市場の製品からではない。
よって行政処分としてのリコール(回収)の必要はありません。
にも関わらずリコール業務を行っているというところを、見落とさないようにしてください。
これ、大手だとはいえ、関東1都8県分の回収って、かなりの痛手ですからね。
それと、今更ですが「大腸菌群」は「大腸菌」とは別モノです。
ましてや食中毒菌である「病原大腸菌」とは、全然の別モノです。
これ、この間書いた記事に詳しく書いてありますので、そちらを読んでみてください。
(あー、書いておいて良かった。というかこういうときのために書いたんですけどね。)

ミスタードーナツ、金属異物の混入で自主回収
こちらも大手のしくじり。
鳥取県米子市の「ミスタドーナツ」店舗で、「オールドファッションハニー」に金属異物混入を認め、これまたこちらも自主回収に至っています。
【ミスド、ドーナツを自主回収 鳥取・米子、金属片混入で】
(2022年05月23日)
飲食事業を手がけるウッドベル(島根県出雲市)は23日、ミスタードーナツ米子R431ショップ(鳥取県米子市)で22日に販売した「オールドファッションハニー」1個に金属片が混入していたと発表した。製造機器の一部とみられ、同日に製造した商品計1600個を自主回収するとしている。
同ショップなどによると、購入客から22日夕に「かみ切れないものが入っていた」と申し出があった。金属片は長さ5ミリ、幅1ミリ。ドーナツの生地を混ぜるミキサーの部品の一部が欠けていたという。…(以上引用)
(共同通信)
この「製造工程での製造機械由来の金属異物混入」というのは、実は今週2件ほどあがっています。
で、こちらがそのまず1件目。
こちら、金属片だというから、店内製造施設のネジやワッシャーなどではない。
こういうものは製造工場だと始業前点検の対象だったりもするのですが、ぼくはこの店のルールがどうなっていたかは知りません。
で、その結果、ドーナツミックスのための撹拌用のパーツの破片だということが判明した。
経年破損による混入は、場合によっては仕方ないこともないわけではないですが、まあ健康被害が生じなくて何よりです。
こうなると、今度は「自主回収」じゃなくなってましたからね。
…あー、ミスドのドーナツ食べたくなってきちゃった…。
精米工場が鳩のフンで汚染されていて問題に
ここ数日、大阪の小学校給食のためのJAの精米工場に査察にいったら、そこは鳩の糞だらけ、てことで何だこれは糞だらけの工場で精米しているのかと保護者が絶賛激おこ炎上中、といったようなニュースがあちこちに挙げられています。

【『ハトのフン』ある中で給食用に精米…保護者「ありえない」 市は工場に立ち入り調査】
(2022年05月23日)
学校給食用の米を納入していた大阪府枚方市の精米工場で、ハトが入り込みフンが落ちるなど、不衛生な環境で作業が行われていたことがわかりました。
守口市教育委員会などによりますと、5月17日、守口市の小学校の給食の米に異物が混入していたため、保護者などが米を納入する精米工場「JA北河内営農センター」を調査したところ、工場内にハトが入り込み、フンがある中で精米が行われていたことがわかったということです。…(以上引用)
(MBS NEWS)

ここ数日、そこかしこでやたらとセンセーショナルにニュース記事が書かれているこちらですが、いやちょっと待てと、言いたい。
有害生物駆除を経てきたぼくからすれば、あのね。
鳩対策って口で言うほど安くないですよ。
じゃなかったらこんなになってないんですよ。
そもそもこの場合、建屋に隙間があって鳩が侵入して、完全に営巣化しているのでしょう、恐らく。
となると、次のようないくつかの対策が必要になる。
必要な鳥害対策 |
|
さて、これをするには幾らのお金が、現実として必要でしょうか。
状況にもよりますけど、それぞれ普通に安くて数十万円、普通に100万円を超えるのが、まあ相場でしょう。
いや、かなり劣悪な状況と推測しますので、それなりに対応費用がかかるかと思います。
つまり、この環境を改善するのは、言うほど簡単な作業や工事じゃない、ってことです。
それを知らない人だけが、不衛生だと叫んでいる。
しかも防鳥対策というのは、それを行ったとしても効果があるかわからないときすら、普通にありますからね。
そもそも、建屋の中に巣を作られれば、そりゃ当然ですが糞まみれになります。
これは不衛生だなんだといっても、そうなるものだ。だってそこに生きて、住んでいるだから。
言っておきますが、ぼくは全く問題がない、とは言いませんよ。
それに鳩が住み着けば、虫の問題、細菌汚染の問題だって、そりゃ生じるリスクだってある。
ご予算に上限がなければ、どうぞやればいいでしょう。
でも、んじゃその安く済んでいる給食費って、数倍に上がっていんですかね。
何でもそうですが、けしからん、でもコストは払いたくない。これじゃ改善なんて進みません。
つまりはやれることと、やれないことだってある。そういう話です。
ちょっと面白いので、これも後日別にじっくり記事としたいところですね。

給食に混入した釘は、ちくわの製造工程由来?
そしてもう一つの金属異物混入、なかんずく「製造工程での製造機械由来の金属異物混入」。
それがこちら。
給食での異物混入です。
北九州市の小学校での給食に、釘のようなものが混入していた、と報道されたものです。
【北九州市の小中学校 給食の金属片は食材のちくわに混入か】
(2022年05月17日)
先週、北九州市の小中学校の給食からくぎのような金属片が見つかった問題で、市の教育委員会は金属片は、食材のちくわに混入していた可能性があると発表しました。
ちくわの製造会社は、同じラインでつくった商品の自主回収を進めています。今月11日と13日、北九州市内の中学校と小学校でそれぞれ給食として出された「ちくわのお茶の葉揚げ」と「ちくわの甘露煮」から長さ2センチほどのくぎのような金属片が見つかりました。
生徒や児童にけがはありませんでしたが、その後の調査で金属片はちくわに混入していた可能性があることが分かりました。…(以上引用)
(NHK)
そこそこなくらいに珍しいことですが、給食での異物混入で、その要因が実は原材料の製造工場側にあった、というもの。
つまりすでに仕入れた原材料の「ちくわ」に釘が混入していたという。
ええっ、ちくわの製造工程で釘が混入!?と不可思議に思ったのですが、どうやらこのちくわの製造元は、「山吹」なる地元業者の老舗メーカー。
ここで作られたちくわが給食に使われた5月11日と13日、別々の学校から金属異物混入として報じられたため、ちくわが要因と疑われたとのこと。
で、その結果、メーカーサイドからの言い分によると、「“ちくわ”を焼いた時にできる生地の『膨れ』を潰すために、約2センチの“くぎ”のような部品を備えた機械を使って」おり、それが混入したとのこと。
(FBS福岡放送より)

実は今週、給食への異物混入がこれでもかと、全国で立て込んで報じられています。
例えば、5月20日に岐阜でプラスチック片の混入があったり、茨城県の水戸市で18日にホチキスの混入が発生したり。
はたまた、同日、岡山県では市内12校と7幼稚園に提供予定だった給食から、調理用のザルの破損片と思われる金属片の混入が発生。

他にも、同じ岐阜ではその前日17日、下呂市の給食に提供されたビビンバの中に六角ナットが混入したり、

あとは香川県でも高松市の給食に金属片が混入したりと、もうあっちゃこっちゃで、給食への硬質異物混入祭りでした。

大塚食品が初の「大豆ミート食品類JAS」認証取得
最後は、フードテック話題で。
大塚食品が、日本初となる「大豆ミート食品類JAS」の認証取得を発表しました。
【大塚食品 肉不使用「ゼロミート」ハンバーグ2品で“大豆ミート食品類JAS”認証取得】
(2022年05月23日)
大塚食品は5月18日、「ゼロミート デミグラスタイプハンバーグ」と「ゼロミート チーズインデミグラスタイプハンバーグ」の2品において、日本初となる「大豆ミート食品類JAS」の認証を取得した。8月以降に、JASマークが付いた「大豆ミート食品」のゼロミートに順次切り替わる。…(以上引用)
(食料産業新聞社)
えーと。
これを説明していると、それだけで記事が一つ必要になるんで、ここでは余り踏み込みません。
とりあえず、「大豆ミート食品類JAS」というのは、昨今の「大豆ミート」業界の重要性にあわせるべく今年の2月に制定された、ホヤッホヤの新たなJAS規格です。
で、そこにこの「大塚食品」の市販品である2品が、日本初のJAS規格認証製品として認定された、というのがこの記事です。
しかもその制定には、この大塚食品の関わりがかなり見られています。
でか、そうなじゃいと今年の2月に出来た制定で、この大塚食品が都合よく選ばれるわけがありあません。
いずれにせよ、このJAS規格によって国内の「大豆ミート食品類」の規格整備を行っていくと農林水産省が精度化し、その第一号として今回、この製品が認証された。
これはこの2022年度における「大豆ミート」の一つの目玉になりうるトピックだと言っても過言じゃない。
でもそれじゃ何が何だかよくわかんない人が多いですよね。
なので、これも別枠で色々と説明していきます。(今週、こればっか)

おっと、ニュース記事としては、ここまでかな。
各々、どれもこれも興味深いので、後で余力があればピックアップしていくとしましょう。
それでは次回、またお会いしましょう。