★公開日: 2022年4月27日
★最終更新日: 2022年4月27日
毎週水曜日は、ウィークリーニュースチェックの日。
出来るだけ、ここ一週間くらいに起こった食品衛生界隈のニュースをピックアップしていきます。
改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

Contents
大阪の税務大学で重症者含む48人の集団食中毒
GWを前にしての、ウィークリーニュースチェック。
今週は集団食中毒が2件発生出とります。
割と盛り沢山なので、サクサクといきましょう。
まずはこれから。
今週のトピック、大阪の税務大学で重症者を含む48人の集団食中毒が発生しています。

【税務大学校の救急搬送48人に 夕食にチキンの赤ワイン煮込みなど】
(2022年04月23日)
大阪府枚方市香里ケ丘の税務大学校大阪研修所で22日夜、腹痛や嘔吐(おうと)の症状を訴え搬送された人数について、枚方寝屋川消防組合は23日、新たに20歳の男性が症状を訴えて搬送され48人となったと明らかにした。
搬送されたのは18~21歳の男女で、重症4人(男性2人、女性2人)▽中等症9人(男性4人、女性5人)▽軽症35人(男性27人、女性8人)。重症者には呼吸の苦しさを訴えている人もいるが、全員意識はあるという。
大阪国税局によると、研修所には食堂や寮があり、今春採用された研修生約150人が22日午後5時~7時の間に食堂で夕食を取っていた。提供された食事はチキンの赤ワイン煮や豚肉入りのみそ野菜炒めなどで、外部の委託業者が食堂の厨房(ちゅうぼう)で調理した。…(以上引用)
(産経新聞)
先週末に報道されたこちら。
大阪の研究施設で、まだ患者の検便結果が出ていないか報じられていないのでわからないですけど、恐らくというかほぼ間違いなく食中毒なのでしょう。
潜伏期間がさほど長くもない集団食中毒とのことですが、重症者が複数出ていること、嘔吐などの症状からウェルシュ菌ではなさそうですね。
また煮物のメニューだし、潜伏期間からしてもカンピロバクターでもなさそうだ。
ということで病原性大腸菌の可能性は、結構考えられそうな気がしますね。
北海道の小中学校で130人の集団食中毒
こっちは北海道で、しかも規模はもっと広範囲。
稚内の小中学校で、12校にもわたって130人の集団食中毒が発生しています。

【稚内の小中学校12校で計130人食中毒症状 給食が原因か】
(2022年04月20日)
稚内市で、12の小中学校の児童と生徒合わせて130人が相次いで下痢やおう吐などの症状を訴えました。いずれも19日、同じ給食を食べたということで、市は給食が原因で集団食中毒が発生した可能性があるとみて詳しい状況を調べています。
(略)
市によりますと、12の小中学校では市内の給食センターで調理された給食を提供していて、19日は▼ハンバーグ、▼春雨サラダ、▼コーンポタージュスープがパンや牛乳とともに出されたということです。…(以上引用)
(NHK)
こちらもかなりの規模ですが、病原性大腸菌の可能性は十分にあるんじゃないかな。
とはいえ発熱はないこと、軽症者ばかりであるということから、ウェルシュ菌もないわけではないでしょうが、ちょっと違うかなってぼくは思います。
メニューは、「ハンバーグ、春雨サラダ、コーンポタージュスープ」。
これをどう捉えるか。
ウェルシュ菌だった場合、上のメニューのなかのうちでも最も「コーンポタージュ」で冷却失敗線が一般的に考えれば濃厚でしょうけど、でもこういう場合のですね、本命は「春雨サラダ」で洗浄由来で軽めの病原性大腸菌じゃないの?、てのがぼくの「読み」です。
つって、こういうのは大概外すクチなので間違ってたらすみません(笑)。
給食への異物混入が連続発生
先週にもあげた給食の異物混入ですが、全国各地でこの手のはポコポコ頻発するものです。
今週も幾つか、小さく報道がなされています。
まず長野県の小学校で、給食のなかに木片が混入。
これも硬質異物ですからね、金属まででもないですけど、健康被害は考えられなくもありません。

【中野市の小学校で給食に木片混入けがなし】
(2022年04月19日)
中野市教育委員会によりますと、18日、中野市内の小学校で出された給食の汁物に、長さ4センチほどの木片が混入し、児童1人が気づかずに口に入れました。…(以上引用)
(NHK)
そして神奈川県。
川崎市で、金属片の混入です。

【川崎市の小学校など8校 給食に金属片混入 提供前に発見】
(2022年04月20日)
川崎市教育委員会は20日、高津、宮前区の小学校と特別支援学校計8校で使う給食の食材に直径数ミリの金属片が混入していたと発表した。いずれも給食提供前に発見され、健康被害などはなかった。市は原因究明を進めている。
市教委によると、豚ひき肉に金属片が混じっていた。田島支援学校桜校からの連絡で発覚し、その後も数校から連絡があったため、同じ食材を使う学校で確認を行った。市は、豚ひき肉を製造した東京都内の総合食品会社の製造工程などを確認している。…(以上引用)
(カナコロ)
こちらの要因は給食の工程上ではなく、その資材の仕入先である豚肉の食肉加工由来のようなのですね。
ミンチャーやグラインダーが破損でもしたのかよくわかりませんが、あやうく提供前での発見となったということ。
なお今週はそれ以外にも、愛媛県の西条で小学校給食に金属片の混入があった、との報告もあがっているようです。

三幸製菓、5月中旬から工場順次再開
今年の2月、大きな火災を発生させてしまい6人もの従事者を亡くしてしまった、三幸製菓さん。
うちでもこのように以下3本、がっつりと魂こめてその関連記事を書かせていただいています。

さてそんな三幸製菓さんですが、そこでも書かれたいたとおり、3ヶ月の工場停止による改善期間を経て、いよいよ翌月5月中旬を目処に順次再開、とのニュースが入ってきました!

【三幸製菓 来月中旬以降 工場ごと順次生産再開へ 新潟 村上】
(2022年04月22日)
ことし2月、6人が亡くなった新潟県村上市の工場火災のあと、生産を停止している菓子メーカー「三幸製菓」は、安全面の改善策を講じたうえで、来月中旬以降、工場ごとに順次、生産を再開していくことを明らかにしました。ことし2月、新潟県村上市にある「三幸製菓」の荒川工場で起きた火災では、鉄骨一部2階建ての建物、8800平方メートル余りが全焼し、従業員合わせて6人が死亡しました。
火災のあと、会社はすべての工場の生産を停止していますが、21日、ホームページで来月中旬以降、工場ごとに順次、生産を再開していくことを明らかにしました。
6月ごろから製品の出荷や販売を予定しているとしています。会社は生産ラインや工場のレイアウト、避難経路などの安全性の確認や見直しを進めるほか、すべての従業員を対象に避難訓練を実施するなど安全教育の徹底を図り、工場ごとに生産再開を判断していくとしています。
佐藤元保代表取締役CEOは、ホームページで「取り返しのつかない重大な事故であり、悔恨の念に堪えません。亡くなられた6人の従業員とご遺族に心よりおわび申し上げます」とコメントしています。…(引用)
(NHK)
5月に工場再開、ということは製造が順調に市場へと出ていくのは下旬から6月くらいのことでしょう。
さて、これは非常に喜ばしいことだと思います。
改善には相当な設備投資も必要だったろうに、工場稼働を止めての経営の資金力などもよく3ヶ月持てたなあ、と素直に感心します。
例えばこれ、おみやげ商品や外食産業向けの製品を作っているような、折からのコロナの打撃を受けていたような業種だとしたら、ぞっとしますね。
かりんとうや袋菓子はむしろ業界としても成長にありましたからね。
いやはや、何よりです。
一応ぼくが上の記事で懸念してきたことを、下に引用して書いておきます。
これらのことを超えて復活した三幸製菓さんの経営力に脱帽です。
最後になりますが、正直言って、業界内での今後に対する三幸製菓のこの先のあまり明るい話を、少なくとも現段階においては耳にすることはありません。
(まあ、まだ火災発生から数日しか経っていない現状の2022年2月23日現在において、ですからこの先は判りませんよ?)というのも某大手製菓メーカーのかたと先日仕事上で色々お話したのですが、ぼくも含めて、次の点をどう考えているのか、という議論になりました。
1つ目。
まずは何よりもメイン基幹工場の製造棟1棟まるまるを焼失して、これまでと同レベルの製造事業が果たして成り立つのか。
また、そのゼロスタートにまで戻すための投資余力、企業としての余力が、果たしてあるのか。まず、メイン商品の製造ラインをまるまる1棟焼けて失う、というのは、製造メーカーにとって致命傷的損失以外の何者でもありません。
そもそも多くの製造機器というのは、調整含めてほぼほぼがオーダーメイドの結晶です。
しかも日本の製造業における基幹工場の製造棟といったら、よくも悪くもかなり職人的な、つまりは属人的とすら言うべきその企業の技術蓄積とノウハウの塊ですから、どこかのゼネコンに頼んでハイこれまでの再現よろしく、というようなものでは、全くありません。
ですから、それを火災でまるまる失ってのドマイナススタートで、現状のクオリティにまでどう立ち戻れるのか。それは外野からは、全くもっての未知数です。2つ目。
しかも、先の通りに、これから3ヶ月は製造復帰までかかる、という。
つまり、それまで生産はないから、企業利益が全く生まれないことになる。
勿論それを踏まえての決断であることは重々わかるのですが、製造メーカーが3ヶ月工場を止める、というのは相当な覚悟を示しての英断です。しかもメインの基幹工場のみならず、例えば、たった数年前に恐らく数十億もの投資を行ったのであろう、「新発田工場」。
事故を起こしていないここすらも、3ヶ月の製造を停止して災害防止に対応する、というのです。
それは確かに立派ではあるかもしれませんが、しかし率直な話、いくらどんなに最新の工場だって、稼働しなければそれはもうただの超巨大な負債の塊にしかなりません。しかも3ヶ月、製品を作らない、ということは、卸先に商品を出さないということです。
当然ですが、スーパーや流通はハイ判りましたと棚を空にすることはありません。よってその代わりとなる商品を作れるメーカーを探しますし、その取引先が決まったとしたときに、さあ数ヶ月たっぷり降ろしてくれたし、三幸製菓も戻ってきたから、もうおたくのこれは明日からいらないよ、とも言えません。
つまり、三幸製菓において数ヶ月先の取引がかなり減少することは、現実としてもう確定している。3つ目。
当然ですがこれから数ヶ月の間に、各工場で様々な防災対策が組まれることでしょう。
ですがそれは言い方を変えれば、かなり大規模な設備投資にはなるだろうけれど、それは利益としてのリターンを(少なくとも短期的には)直ちに生むような類のものではない。
それは確かにこのような事故を起こしての、必要な対策だとはいえ、それが企業経営上にどう負担となるのかは、これまた外野からは全くもってわからない。…と、これらを軽く考えただけでも、3ヶ月後に無事「ハイ復帰しました、またよろしくー」というわけにはいかない茨の道であることが容易にわかることでしょう。
ぼくはまったくもってそちらの専門知識は持ち合わせてもいませんが、普通なら現状にいたれるまで最低ですら数年、いや、それで果たして復興出来るかどうか、というのが実状ではないか、というのが先の業者さんと話した結論でした。
…(以上、上記リンク過去記事より引用)
アサヒビール「新スーパードライミュージアムin東京ミッドタウン」開催
最後はこれ。
3月にスーパードライをリニューアルさせたアサヒビールが、その勢いのまま「東京ミッドタウン」で新たに「新スーパードライミュージアム」を開設する、とのこと。
【アサヒビール「新スーパードライミュージアムin東京ミッドタウン」オープン】
(2022年04月25日)
アサヒビールは4月22日から4月26日まで5日間限定で「新スーパードライ ミュージアムin東京ミッドタウン」を東京ミッドタウン(東京港区赤坂)にオープンしている。樽生を極めた注ぎ手による工場できたての新スーパードライが1杯500円(フィッシュナゲット付)で楽しめる。
仮想現実(VR)を活用した工場見学体験や「スーパードライ」の製造工程・歴史パネルや躍動感ある映像など、ブランドの世界観を五感で伝える。…(以上引用)
(日本産業新聞)
へー。
…と思うだけのニュースに見えるかもしれませんが、実はですね。
ここのホールにあるであろう、工場見学体験。
「仮想現実(VR)を活用した工場見学体験」ってやつですね。
これ、違っていたらすみませんが、おそらくはアサヒビールの守谷工場の工場見学のトリになっている動画じゃないのかな。
というのも、ビールが缶に充填され、そのまま包装ラインへと向かう工程をビール側からジェットコースターのようなスピード感で楽しむ、というかなりスリリングで面白い感覚を体感できるものです。
これ、ちょっと興味あり。

なお以前にウチでも記事として扱っていたアサヒビールの工場見学レポですが、どうやら先月にその「スーパードライミュージアム」がリニューアルして再開しているので、また近いところ新たに出向いて飲み直し…いや、書き直してみたいと思います。
作りたてのスーパードライの美味さったら、たまらないものなあ…(じゅるり
…と、思って5月のミュージアムのスケジュールみたら、なんと、もうほぼほぼ予約満員なんですよ!
予約取れるのは6月くらいかなあ…。
というわけで、今週はこの辺で。
ではまた来週。
