★公開日: 2022年4月20日
★最終更新日: 2022年4月20日

毎週水曜日は、ウィークリーニュースチェックの日。
出来るだけ、ここ一週間くらいに起こった食品衛生界隈のニュースをピックアップしていきます。

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

挿画:2022年4月20日

 

グロリオサの球根誤食で死亡者発生

今週はなんだかやたらとニュースが多い!
というわけで、前置きもなく極力サクサクと行きましょう。

先週スイセンの誤食による集団食中毒が発生したというニュースをとりあげたばかりですが、今週もまた有毒植物の誤食による食中毒。
しかも今回は死亡者まで出ています。

【グロリオサの球根で食中毒、60代男性死亡 ヤマイモに似る】
(2022年04月14日)
 宮崎県は14日、ヤマイモに似た「グロリオサ」の球根を食べたとみられる同県延岡市の60代男性が死亡したと発表した。
(略)

同県衛生管理課によると、男性は6日、家庭菜園で採ったグロリオサの球根をすりおろして食べたとみられ、8日午前、男性宅を訪れた知人が死亡しているのを発見した。…(以上引用)
(毎日新聞)

挿画:グロリオサ

先週のスイセンでの食中毒同様に、このようにこの時期になると必ず毎年発生するのが、こうした「有害植物による食中毒」です。

なおこの有害植物による食中毒については、ウチでもついこの間にがっつり解説してきているので、こちらの記事をご覧ください。

これらの記事のタイトルにもあるように、このように実際に「最悪死ぬ」のが有毒植物の誤食による食中毒です。
とはいえグロリオサの誤食による食中毒というのはあまり多くはありません。

ただしこの報道には「全国で、グロリオサによる食中毒による死亡は2012年以降、2例目」とありますが、一昨年2020年に1回発生しているんですよね。
ほら、これです。しかも同じ九州地方で。

このグロリオサの球根はヤマイモに似ており、それで誤食することがあるようです。
高知県高知市のホームページに、その注意のよびかけと一緒に、違いの解説がありましたので、ご紹介しておきます。

高知市:グロリオサの球根とヤマイモの比較
高知市:グロリオサの球根とヤマイモの比較

【グロリオサの球根とヤマイモの比較】

上:ヤマイモ
ヤマイモは表面がゴツゴツして,ひげ根があり,表皮は剥がれにくい。

下:グロリオサの球根
グロリオサは表面が滑らかで,ひげ根がなく,表皮は剥がれやすい。
表皮の色は,グロリオサの方が茶色が濃いが,表皮の下は乳白色である。である。

すき家で麦茶にクロゴキブリ混入

目下SNSにて例の「生娘シャブ漬け戦略」で火がついてる吉野家ですが、一方ですき家はといえば、こちらは麦茶へのゴキブリ混入がTwitterで話題に。

【すき家、麦茶への「ゴキブリ混入」で謝罪 ツイッターで写真拡散…保健所が立ち入り調査へ】
(2022年04月14日)
牛丼チェーン「すき家」の三重県内の店舗で、店員から出されたコップにゴキブリが入っていたと、ツイッターに写真が投稿された。
すき家は、提供した麦茶にゴキブリが入っていたのは事実だと取材に認め、「重く受け止めています」と謝罪した。
なぜコップに入ったのかは不明だと言い、今後原因の特定を進めるとしている。…(以上引用)
(J-CASTニュース)

こちら、その発端となったLEONさんというかたのTweetです。

では、以下プロとしての意見を。
なるほど、クロゴキブリの成虫がコップ内に混入した、ということですね。それは実に不幸でしたね。

一般的に、飲食店でのゴキブリの異物混入といったらチャバネゴキブリである場合が多いです。
何故ならチャバネゴキブリは店内の厨房などで内部発生していることが多いからです。
一方でこのクロゴキブリというのは、店内で発生しているというよりは、一般的に外部侵入、つまり店の外側からくるものなので、混入の可能性としては低いものです。
とくにこのように成虫である場合、普通は外部からの侵入であることが多いでしょう。

またなぜコップに入ったかの原因は、そりゃ店舗側じゃわからないとなるでしょうが、昆虫以外にもグラスへの異物混入というのは実は割とあるものです。

またこの報道では駆除業者を依頼したとありますが、クロゴキブリの成虫の場合は先のとおり、そのほとんどが外部侵入。
うち、侵入経路は多くが排水由来ということが多いです。
外部から侵入してくるのだから薬剤を散布しても正直、あまり効果は期待できないのですが、やらないというわけにいかず施工したものと推測します。

折角ですから、近いうちにゴキブリの混入事故についての記事を書くとしましょう。


すき家

連続で学校給食への金属異物混入が発生

先日、学校給食での金属の異物混入が続いて発生しました。

まずは静岡県清水市の中学校の給食に、ワッシャーの混入事故が発生。

【静岡の中学校 給食から金属片】
(2022年04月19日)
 静岡市は18日、清水一中で同日提供された給食のマーボー豆腐の中に、直径12ミリのリング状の金属片が混入していたと発表した。
同校の3年生の一人が口に含んだ際に気づき、すぐ吐き出したため健康被害はないという。
 市によると、発見された金属片は野菜を切る機械のボルトの緩みを防ぐ「ワッシャー」という金具。給食を調理した市立東部学校給食センター(同市葵区)はその他、直径9ミリのナットとスプリングワッシャー計2点の脱落を確認した。…(以上引用)
(静岡新聞)

続いて同日18日、長崎県長崎市では小学校での給食のカレーの中にネジの混入が報じられました。

【【長崎】小学校の給食に金属製のねじ混入】
(2022年04月19日)
長崎市内の小学校で18日給食の中に、金属製のねじが混入していたことが分かった。
長崎市教育委員会によると、18日に長崎市内の公立小学校で提供された給食の「ポークカレーライス」から長さおよそ1センチの金属製のねじが見つかったという。…(以上引用)
(長崎国際テレビ)

こうした金属の異物混入というものは、口内を切るなどの健康被害が発生する危険性があるため、それ以外の異物混入よりも基本的には重特性が高いものです。
ですが、学校給食の異物混入でおそらく最も頻度の高い要因のひとつが、この金属異物である、という現実が存在します。

なぜかというと、一般的な食品工場での製造過程と違って多くの学校給食の調理現場には、コスト面や調理時間、調理方法などの都合上、金属探知機の導入、使用が現実的には困難だったりするケースが多いからです。

挿画:学校給食

ノロウイルスはO型好き!?

ちょっと面白い記事で、目をひかれました。
なんでも血液型がO型の人は、それ以外の血液型の人よりも1.5倍ほどノロウイルスに感染しやすい、というのです。

【ノロウイルスはO型の血液型を好む 数々の人体実験で判明【血液型と病気】】
(2022年04月14日)
たとえば2002年にアメリカの研究チームが51人のボランティアにノロウイルスを飲ませて、感染した人数と発病した人数を調べました。その結果、O型はA型と比べて10倍も感染リスクが高いことが示されたのでした。
 さすがにサンプルが少なすぎて、数字の信頼性は低いですが、その後の人体実験や疫学調査などから、O型はその他の血液型よりも1.5倍ほどノロウイルスに感染しやすいことが明らかになりました。
 ただしこれは、分泌型(組織血液型抗原を有する人)に限ります。組織血液型抗原がA型、B型、AB型の人がノロウイルスに感染するリスクはほとんど同じで、O型の人だけリスクが1.5倍高いのです。…(以上引用)
(日刊ゲンダイ)

しかしその一方で、ウイルスの株によってはA型を好むものもある、と書かれており、その例として2003年に北海道で発生したノロウイルスによる集団食中毒をあげています。
それが、661名の患者を出したこれですね。

にしても、さすがは大学の先生が書かれている記事だけあって、しっかりとした裏付けのある非常に興味深い内容になっていますねえ。

参照画:ノロウイルス
大阪市

「生食用かき」表示を見直し検討

こちらもノロウイルスに関わるお話です。

カキには「生食用」と「加熱用」(「加熱調理用」「加熱加工用」)の二種類が販売されています。
で、このうち「生食用かき」には食品衛生法によって下のような成分規格に加え、そのかきの採取海域の細菌数などを定めた加工基準や、10℃以下での保存などをはじめとした保存基準などの規格基準があるんですね。
つまり、そうした基準を満たさないと、「生食用」として販売ができないのです。

生食用かきの成分規格
  • 細菌数:50,000以下/g
  • E.coli最確数:230以下/100g
  • 腸炎ビブリオ最確数(むき身にした生食用かきに限る。):100 以下/g
挿画:牡蠣

で。
これらの見直しをはかるとともに、ノロウイルスへの扱いがなされていないのでそこをなんとかしていけないか、というのがこのニュースで言っていることです。

【カキの「生食用」表示、見直しを検討 若宮担当相が答弁】
(2022年04月19日)
 若宮健嗣消費者・食品安全担当相は19日の衆院消費者問題特別委員会で、カキに使われる店頭販売表示「生食用」について、使い方などの見直しを検討する考えを示した。…(以上引用)
(カナロコ)

とはいえ、実際にはそう簡単でもないわけで。
果たして今後、どう定めていくことやら。

というわけで、今週はこの辺で。
ではまた来週。

挿画:

 

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