★公開日: 2022年4月7日
★最終更新日: 2022年4月7日

毎週水曜日は、ウィークリーニュースチェックの日。
出来るだけ、ここ一週間くらいに起こった食品衛生界隈のニュースをピックアップしていきます。

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

挿画:4月(入学)

 

4月始まってもう葉桜

いやあ、すっかり春ですねえ。
先週末から週頭にかけて天気があまりよくなかったせいか、せっかく咲き誇っていた桜がかなり散ってしまいましたが、しかし。
ここ関東近県ではいよいよ花見シーズン突入。
ここ数日を逃したらもうないんじゃないかなって感じです。

ぼくも、昨日今日と見頃の桜を眺めながらジョギングをしてきたのですが、もうあれっすよ、今見ずしていつ見んのか、と。
実際、都内も場所によってはもうかなりの葉桜になってます。
うーん、今週末まで盛ってくれるのかなあ。
週末にはビールでも持って、近くの公園で花見でもしたいもんですなあ…。

おっと、本題。
というわけで、そんな4月1週目。
どんなニュースがあったか、追っていくとしましょうか。

セブンイレブンの豆大福に金属片混入

まずは今週はこれでしょう。
先月末に起こったこちらの異物混入騒動。
しかも金属片ときた。

【セブン‐イレブン 豆大福に金属片混入のおそれ 自主回収へ】
(2022年04月01日)
 コンビニ大手のセブン‐イレブン・ジャパンは、関東地方などで販売していた豆大福に金属片が混入したおそれがあるとして、2万7000個余りを自主回収すると発表しました。
 回収するのは、神奈川県を除く関東の1都5県と新潟県の店舗で販売していた「北海道十勝産小豆使用 豆大福」の一部です。
 会社によりますと、3月31日夕方、商品を購入した客から「金属片が入っていた」という連絡があり、調べたところ、埼玉県内にある工場で設備の一部が破損していることが分かったということです。…(以上引用)
(NHK)

さて、このセブンイレブンOEMの「北海道十勝産小豆使用 豆大福」を製造しているのは、実は北海道に本拠点を持つ「十勝大福本舗」さん。

挿画:十勝大福本舗
十勝大福本舗

そしてこれ、別に記事で取り上げますが、この今回取り上げられているその「十勝大福本舗」さんの「北海道十勝産小豆使用 豆大福」は、はっきり言ってコンビニクラスのスイーツとしては「メチャクチャ上級に美味い」、です。

参照画:挿画:十勝大福本舗の豆大福
十勝大福本舗

ぼくもこの混入事故の後、実際に購入して食べてみたのですが、優しい自然な甘さにほどよい塩味。
そしてごろごろと口にあたる弾力ある赤あずき。
コンビニ和菓子ってこんなに美味しいの!?と、ちょっと感動しました。

あ…ええと、異物混入事故について少し簡単に触れます。

このたび異物混入を発生させてしまったのは、セブンイレブンのOEM商品。
こちらの「北海道十勝産小豆使用 豆大福」というものです。

参照画:挿画:十勝大福本舗の豆大福
十勝大福本舗

そしてこの大福を製造していた工場は、こちらの企業が埼玉県入間郡内にもつ「東京工場」である、とのこと。

参照画:工場組織図
十勝大福本舗

ぼく自身は実状を全く判らないですが、そもそもからして大福自体はそれほど製造が複雑ではありません。
そこで想像するに「製造機器の一部が混入」することによってこれだけの広範囲での回収ということは、成型段階、つまりはつぶあんか皮の製造段階で混入した可能性が考えられるでしょう。

しかも、そうなると通常は包装工程の前で金属探知機を通過します。
つまりこの段階で、金属探知機ではじかれなかったということになる。
このクラスの企業、しかもセブンイレブンさんくらいのベンダーで製造するとなると、そう簡単にこうした異物混入が起こり得るような環境を、普通は取引上、許しません。
なのでそれなりの精度で行うはずですが、それがどうしてスルーされたのかはぼくは知りません。

いずれにせよ、報道によれば2万7000個余りのロット回収です。
これって、普通に考えたって、1個140円です。
その採算が全てではないにせよ、2万7000個取れなくなります。

となれば、単純計算(勿論そう短絡的にはなりませんが)で数百万円の負債です。
のみならず、その改修費や機会損失などを考えたら、数千万に届くか届かないレベルになってもおかしくないでしょう。
これ、言っておきますが「自主回収」、つまり「企業が何らかの理由で自主的、自発的に行う回収」であって、法的根拠、行政指導によって行う回収じゃないですからね?

一般の方々はさして深く考えてないかもしれませんが、「異物混入したんだからそんなもの回収して当たり前だ」なんてのは、ありませんからね!?

おっと、この話については、また別途扱うとしましょう。
とにかく非常に美味しく、優れた企業の商品なので、ぼくは断固この「十勝大福本舗」さんを応援します。

挿画:考える

貝毒を駆除する新種の微生物発見

次。
ちょっと面白い記事です。

前々回、自然毒による食中毒のお話をしたばかりですが、それに関わるお話を。
なんでも貝毒の原因となる有毒プランクトンに寄生して、死滅させるという新種の微生物が発見された、とのことです。

【貝毒を駆除する新種の微生物発見、原因となるプランクトンを死滅させる】
(2022年04月01日)
 貝毒の原因となる有毒プランクトンに寄生して死滅させる微生物の新種を発見したと、東北大などの研究グループが発表した。周辺環境や他の生物には無害で、貝毒の予防や原因プランクトンの駆除技術の開発につながる可能性がある。論文が国際科学誌に掲載された。
 新種は「アメーボフリア」と呼ばれるプランクトンの一種。
まひ性貝毒を引き起こす有毒プランクトンの細胞内で増殖し、数日後、細胞を突き破って飛び出る。…(以上引用)
(読売新聞)

参照画:アメーボフリア
読売新聞

これがどうやらその貝毒を死滅させる微生物「アメーボフリア」、だそうです。

さて、前回にも触れましたが「貝毒」というのは、自然毒の一種で、動物性自然毒です。

…え、「自然毒」?
「動物性自然毒」?
…なんだっけそれ?
というかたがいそうなので、ちょっともう一回簡単に解説しておきましょう。

まず、食中毒を起こす原因物質というのは、実は色々あります。
例えば代表例として細菌やウイルスなどの微生物によって生じることもあれば、アニサキスのように、寄生虫によって発生することもあります。
それらの原因物質によって食中毒を分類した場合、およそこのようになります。

作成画:食中毒の原因物質
食中毒の原因物質別分類

さて、このうち一番下に「自然毒による食中毒」というのがありますね。
ここにも大きく2つに分類が可能です。
それが次の通り。
大きく「植物性自然毒」「動物性自然毒」、です。

自然毒の種類
  • 植物性自然毒:有毒植物、毒キノコなど
  • 動物性自然毒:フグ毒、有毒魚、貝毒など

で、このうちの「植物性自然毒」は前回、二回にかけて解説してきた、有害植物と、あとは毒キノコ、です。

そしてもう一方の「動物性自然毒」。
ここに、フグ毒と、そしてこの「貝毒」というのが加わります。

貝毒もまた貝毒で詳しく今後解説していくとしますが、このニュースの解説としてこのように書かれています。

貝毒 =有毒のプランクトンを取り込んだアサリやカキなどの貝が毒素を蓄積し、ヒトが食べることで食中毒を引き起こす。

つまりは生きた貝が作り出す、毒性の食中毒原因物質です。
そして取り敢えず、今回はその貝毒の原因を駆除する微生物が発見された、というのがこのニュースの内容です。

ちょっと興味深いニュースですので、今後も追っていくとしましょう。

挿画:ビジネス

バイケイソウで、今年初の有毒植物による食中毒発生

さて、こちらは植物性自然毒による食中毒です。
といってもこないだ紹介したばかりなので、さらっとだけ触れておきます。

福島県で、ウルイと間違えてバイケイソウを誤食し、今年初となる有毒植物の、つまり植物性自然毒による食中毒が発生しました。

【ウルイと誤食…バイケイソウで食中毒 芽出し期の識別難しく】
(2022年03月30日)
 いわき市保健所は29日、有毒のバイケイソウを食べたことが原因とみられる食中毒が発生したと発表した。
同市の女性(77)が28日に野草を食べ、嘔吐(おうと)などの症状を訴えた。女性は市内の医療機関に入院し、回復傾向にあるという。…(以上引用)
(福島民友新聞)

…ってもうこれについては十分に解説しましたよね。
詳しくはこの前の有毒植物についての食中毒を読んでみてください。

改正食衛法について厚労省、食品安全精度懇談会を開催

最後に、行政話。
ちょっと小難しげなお話ですが、メーカーの品管さんなどはこれ、一応押さえておいてください。

要するに、昨年2021年の改正食品衛生法の施工に対し、そこそこ時間も経ったので、ここらへんで実際の運用状況はどうなってんだと、厚労省がその実状について現場のご意見番の意見を拾い集めようと、懇談会を開催し初めて、でイマココという状況です。

【改正食衛法で意見交換 監視指導平準化など課題 厚労省懇談会】
(2022年04月04日)
 昨年6月から改正食品衛生法が全面的に施行され、約半年が経過した。
実際に運用する中で、新しい営業許可制度に関する理解の混乱や、HACCPの監視指導の平準化の必要性など、徐々に課題も見え始めている。
そうした状況を踏まえ、厚生労働省は改正食品衛生法に関する意見交換の場として食品安全制度懇談会を設置、3月30日に第1回会合を開催した。…(以上引用)
(日本食糧新聞)

なお、これについては、また別途に記事する予定です。が、あくまで予定は未定です。
さしあたり、ここから出している資料くらいは目を通してもいいかなって思います。

参照画:厚生労働省

日清食品HDと東大が日本初の食べられる「培養肉」作成

最後は、ちょっとだけ最新食品技術のお話を。

日清食品HDと東大が共同開発によって行っている研究チームが、先日、日本で初となる「食べられる牛培養肉」を作ることに成功、と報じられました。

【日本初「食べられる培養肉」 東京大、日清食品HD】
(2020年03月31日)
 東京大と日清食品ホールディングスの研究チームは31日、肉の細胞を培養して作る「培養肉」について、国内で初めて人が実際に食べられる素材を使って牛肉の培養肉を作ることに成功したと発表した。
 作った培養肉は、長さ4・5センチ、幅2センチ、厚さ1ミリ、重さが2グラムほどで、しゃぶしゃぶ肉のような形をしている。
チームがこれまで作成してきた培養肉は研究用の素材を使っていたため食べることができなかったが、今回は独自開発した食用可能な素材を使った。
研究の内容について倫理面や安全性を審査する東京大の委員会の承認を得て、実際に試食も行ったという。…(以上引用)
(産経新聞)

参照画:培養肉
産経新聞

世界中で技術が進んでいる培養肉ですが、それらの多くは皆、ひき肉のようなミンチ上のもの。
しかし今回開発これは、ステーキ肉のような形状であるのが特徴、とのこと。
「肉本来の味や食感が楽しめるステーキ肉状の培養肉の実用化を目指している」と開発者は、話しているのだとか。

参照画:日清HD
日清HD

というわけで、今週はこの辺で。
ではまた来週

挿画:

 

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