★公開日: 2021年12月14日
★最終更新日: 2021年12月14日
「ぶらり、衛生管理屋」。
さすらいの(?)衛生管理屋が、日本全国、東西南北津々浦々、あちこちにぶらりと出かけては、食品衛生のプロとしての鋭い眼差しをご披露。
た、ただの散歩や観光やドライブじゃないんだからね!
そんな初回の「ぶらり」は、残念ながら包装不良で先日製品回収対象となってしまった「モンテール」さんの「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」を求めて、茨城県は坂東市の工場直売所にまで行ってまいりました。
なおこの記事は、前回、そして今回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら②はその後編となります)
改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

Contents
いざモンテール工場直営つくば店へGO!
(こちらは二部構成の「後編」になりますので、もし以下の「前編」をお読みでなければそちらを最初に読んでいただくと理解がより深まります)
さて、前回からの続きです。
スーパーマーケットなどでお馴染み、コスパの高いお手頃スイーツで知られるモンテールさんの、新商品「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」。
シール不良によって、あるロット分が回収対象となったというこの「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」が滅茶苦茶美味しそうだ。
一体どこにあるのだろう。どこで手に入るのだろう。
まずはモンテールさんの公式ページをチェック。
すると、おお、モンテールさんにはなんと、工場直営店が全国4箇所にあるではないか!
定番商品から季節・期間限定商品まで、モンテールのこだわりスイーツが勢揃いする工場直送の直売店。
一部の店舗では、自家製低温殺菌牛乳でつくったソフトクリームもお楽しみいただけます。
また、贈り物にぴったりの焼き菓子などの限定商品もご用意しております。
関東在住の身からすれば、これらのうち我が高薙家から一番近所なのは埼玉県の「八潮店」だ。
でも他も気になるぞ。
へえ、岐阜県の美濃加茂店では工場併設だから工場見学も出来るのか!
いいなあ。
あ、岡山店ではカフェに加えて自家製低温殺菌牛乳ソフトクリームもあるぞ。
こんなん近かったら絶対行くやつやん。
…とふと目に入った、茨城県にあるつくば店。
あれこれ、よく調べてみると工場があるな?
てことは、工場も見れるってこと!?
ここだ、ここに行ってみよう!

モンテールのつくば工場に行ってみた
さあ、そんなわけで行ってきましたよ、はるばる茨城は、モンテールさんの工場まで。
いやあ、なかなか楽しいドライブでしたねえ。
グルメあり、スポーツあり、リフレッシュあり。
まあ、ぼくだけじゃなくて嫁さんと一緒に行ったわけなんですけど。
というわけで、ここからはドライブのお話です。
おっと、食品衛生にも触れてますよ!?
ちゃんと仕事しています(笑)。
さて、嫁さんと二人で車に乗り込み、一路茨城県へ。
常磐道を下り、常磐道谷和原ICを降り、自然豊かな茨城県内を走ります。
大体車で30分強、くらいだろうか。
実はぼく、よく茨城県に行くので割と土地勘はあるんです。
とはいえ、結構なはずれだ。
まず、車じゃないと絶対に到達できません。
駅とか、そういうものは、全く存在しない。
そして、ですね。
「つくば店」と言っているけれど…
つくば市じゃ全然、ない!
大丈夫、大丈夫。
これ実は、茨城県南あるある、です。
茨城県南では普通の常識です。
ほら千葉県にある夢の国だって東京ディz
さて、まず到着したのは、茨城県坂東市、岩井にある工業団地、「つくばハイテクパークいわい」。
って、「つくば」なのか「いわい」なのか!?
はい、茨城あるあるです。
勿論、茨城県南では普通の常識です。

あと、何一つありません。
いや、工場と、あと大きな公園があります。
でもそれ以外がありません。
見渡す限り、自然と工場しかない。

ひとまず公園に車を止めて、10分ほど軽くそのだだっ広い公園を歩いてみる。
この手の田舎(失礼!)の工業団地には、こういう大きな公園がたまにあるのが嬉しいですね。
実はぼく、ランニングが趣味なので、ここで走りたいな。
いや、その楽しみは後に残しておこう。
まずはお仕事(?)だ。そんなことを考えつつ、ぐるっと歩く。
ふーん、自然が豊富でいいところだな。
今日は曇っているけれど、これ晴れたら結構気持ちいいな。
なーんて思って付近を探索していると、見えてきた、とある大きめの工場。
「不二つくばフーズ」さん。
しかも「大豆たん白食品」とある。
なるほど不二製油グループ傘下の、ここでは大豆商品を製造しているようですね。
厚揚げだとか、がんもどきとか、そういうところでしょう。
へえ、どんな工場だろ。
職業病ですね、どうしても食品工場を見つけると、色々なところをチェックして妄想してしまいます。

このようにぼくのように食品工場にばかり行くような生活を20年もしていると、その外観だけである程度その工場の構造が透けて見える特殊能力が身につきます。
ではそんな、特殊スキルをここで軽めに発動。
特殊スキル、「食品工場解析」。
まずこの工場は、二階構造。
そしてどうやらこっちは資材搬入のエリアのようだ。
厚揚げやがんもを作るんだから、成形、焼成、そして凍結工程は欠かせない。
資材搬入がこちらだから、1階で搬入した資材を加工するのだろう。
そしてそれを成形し、フライヤーを1階エリアに設置する。
でそれを2階にあげて凍結させ、それを冷凍保管して出荷する。
まあそんな流れなんでしょうね。

こちらは窓があるから、事務所側なのでしょう。
こっちから人が入って二階にあがって、そして左や下へと流れる動線なのでしょうね。
と、そんな楽しい特殊スキル妄想を働かせつつ探索していると、その向かいにとある工場を発見。
あ、こっちがモンテールさんだ!
おお、さすがだ。結構、大きな工場だぞ!?

物流面をがっつりとかためた作り。
こちらも二階構造の工場です。
でも、見てください。二階は窓がかなりある。てことは事務や食堂、ホール、更衣室や休憩室などがここにある、ということです。

このように事務エリアは2階に集中している。
ということは、メインの製造は1階となるのでしょう。
だから従業員さんも2階に一旦あがってから、着替えて1階に降りていく、という作りがこの場合は多いです。
で、こちらも基本は同じ。
製造品目はこちらのほうが多いから、若干の違いはあるんでしょうが、1階をメインの製造エリアにして、こうした洋菓子製造工場では多い包装工程などを2階でこなす、なんて作りじゃないですか?
あ、ただの妄想ゲームなので、間違っていたらこっそりと教えてください。(笑)
つくば直営店へ行ってお目当てスイーツをゲット
しかしここで一つの問題が浮かぶ。
というのも、一番肝心の直営店が敷地内に見当たらないのだ。
え、え、ど、どこにあんの…!?
普通、てわけではないかもだけど、その多くはやっぱり工場の敷地内にあるもんだよね…?
しかも勝手に入ったら、なんか守衛さんとかに怒られそうだぞ…。
そこで慌ててスマホで調べてみると、なんでもモンテールさんの直営店というのはこの工場敷地内にあるのではなく、ここからちょっと離れたところに設立されている、とのこと。
つまりここの直営店って、工場併設じゃないというわけです。
というわけで、スマホのGoogleさまに導かれるまま、行ってみましたそのモンテールさんの工場からちょっとだけ離れた直営店へ。
そのモンテール工場さんから、2~3kmほど離れた先だということ。
車を少しばかり走らせます。

………え?
ここ?
ぽつーんと、何もないところにそれだけがある、みたいな直営店。
少しばかり心配になりながら、車を止める。
「SWEETS FACTORY モンテール つくば直営店」。
いや、確かにここだぞ。
看板にもそう書いてあるもの。
でも、ここでいいのか?
ちょっと、いやかなり、いや相当なレベルで不安になるくらいに、ぽつーんと感。
何というのかな、周りに一切、何もないんだ。
何もない道路の中、人もいない村の中、ぽつーん、とあるんだ。

自転車置き場…ってここまで自転車で来れる…の…か?
(いや来る近隣の人もいんだろ!)
そんな、ちょっと失礼なくらいのぽつーんとショップの駐車場に車を止めて、恐る恐るご入店。
ご、ごめんくださーい…。

しかしながら、いざ入ってみれば。
こーんな何もない田舎(失礼!)と侮ることの出来ない、十分に立派な直営店の様相でした。
こじんまりとしながらも清潔な店内に、所狭しと並べられたスイーツの数々。
見やすいし、おしゃれだし、何よりも、楽しい。

ていうか安いな!
30%OFFはザラ。
規格外品なんて、ものっそい詰め合わせ。
あー、こういうのはありがたいぞ!
さてお目当ての「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」は…

お、これこれ。
あった、あった。
チョコクリームのものもあるぞ。
しかもなんと詰め合わせのセットものがあるらしい。
お目当ての「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」を含めて、他に数品入って、30%OFF、
これはいいな、うちの家族皆で色々と楽しめそうだ。
これ、いただこうか。

茨城県南探索にGO
さあ、お買い物を済ましたら、茨城県南探索だ。
あ、この項はただの茨城ドライブレポです。(汗)
さて。
こちらの「つくばハイテクパークいわい」を離れて、車で大体10分か15分くらいだろうか。
同じ常総市、「ミュージアムパーク」へ。

ここに車を止めて、ちょっと嫁さんと二人で遠出ランニング。
よう知らないところに遠出して走るの、実はぼく結構好きなのです。
まだ紅葉の残る11月。
自然の多い山の中を走るのが、なんとも気持ちがいい。
寒くもまだなっていない今時期のランが、実は一年の中で一番爽快だったりするのです。

菅生沼のほとりを、8kmほどランしてから「あすなろの里」にある「里カフェ」で休憩。
なんか田舎の、でもめたくそおしゃれなカフェって感じ。
ラン後の疲れた体が、自然の中で、静かに癒やされる。これはいいとこだなあ。
しかもこの「あすなろの里」にはキャンプ場やBBQ施設もあって、その趣が自然にかこまれていて、すごくいい。
中には釣り堀もあるし、こんなおしゃれなカフェもあって、いいではないか。
今度はソロキャンで、また是非とも訪れたいところ。

たっぷりと汗もかいたから、次は風呂に入りたい。
遠出の先でグルメ、ラン、風呂、いいじゃないか。
スマホを使って近くのお風呂を検索し、すぐお隣の守谷市にある「いこいの郷」に。

どうやらこちら、市営の施設らしく、600円くらいで入れる。
これはありがたいな。入らせていただこう。
でもさすがに、安いだけあって、うーん、ちょっと微妙かな。
一応、露天風呂にサウナとあるのだけど、水風呂は狭いし、施設的には今ひとつ。
なんだろ、公営で安いから、毎日近所のおじいちゃんたちが交流がてらに風呂入りに来る感じのところなのかな。
とはいえ、なんだかんだで3セット、しっかりと整わせていただきましたがね。
「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」をチェックしてみる
はるばる茨城まで行って、工場探索、お買い物、遠出してのカフェ、そしてラン&サ活…とたっぷり堪能ドライブを果たしてから、ご帰宅。
早速買ってきたばかりの、モンテールさんの期間限定スイーツ詰め合わせを、開封してみる。

5品入っていて、なんとお値段ふところに嬉しい30%OFF、566円。(税込600円)
しかも、どれも美味しそうだ。
とくにこの「生チョコクレープ」っての、すごく美味しそうだな!
まあ、糖質制限中なのでそんなに食べれないんですけどね…。

そして何といっても、今回のお目当て、「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」。
これこれ、これですよ。
それではこいつを少しばかりチェックしていくとしましょう。
まずは裏面の表示を確認してみる。

「製造者」は、モンテールさんの埼玉工場だということ。
って、つくば工場じゃないのかよ!(笑)
まあ、いいでしょう。
各工場、それぞれ自社内で製造する商品ってのが決められていますからね…。
(んじゃ行くの、埼玉工場で良かったやんけ…)
そして名称を見ると、「洋生菓子」とある。
さて、みなさん。
この「洋生菓子」ってなんでしょうか。説明できますか?

「洋生菓子」とは
後編は完全にドライブレポ、食レポだけじゃねーか!と思われそうなので、少しばかりここで専門の食品衛生にも触れておきますね(笑)。
この「名称」の「洋生菓子」とはなんでしょうか。
簡単に説明してしまうと、「洋生菓子」というのは、洋菓子でも水分を多く含むもののことです。

そもそも菓子は、和菓子だったり洋菓子だったり、あるいは中華菓子だったりと、そのお菓子の歴史によって幾つかに分類されます。
ですがそこは食品衛生のぼくら的にはそれほど重要ではない。
重要なのは「保存性」による分類です。
むしろ、ここらへんになるとぼくら食品衛生に生きる者しか馴染みないかもしれませんね。
洋菓子でも和菓子でも、水分を30%以上含むものが「生菓子」。
水分を10~30%未満のものが、「半生菓子」。
水分が10%未満のものが、「干菓子」、と一般的には分類されます。
言うまでもなく、水分が多ければ多いほど保存性は低く腐敗変敗を起こしやすい、一般的な言い方をすれば、いたみやすく長持ちしなくなります。
菓子類の保存性に基づく分類 |
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これらに従って、洋菓子の生菓子ならば「洋生菓子」、和菓子の生菓子なら「和生菓子」と呼ばれるわけです。
とくに洋菓子は水分が比較的、というかかなり多いので「洋生菓子」はどうしても多くなります。
ショートケーキ、パウンドケーキ、シュークリーム、カスタードブディングなどなど…。
そしてこの「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」、そしてここに買ってきたスイーツたちは皆、この「洋生菓子」に分類されるのです。
だからこそ、この「洋生菓子」というのは、わざわざかつて「洋生菓子の衛生規範」によって成分規格が決められていたのです。
もう少し細かく規定するとその、今はなき「洋生菓子の衛生規範」(2021年6月廃止)では、次のように規定されていました(過去形)。
「洋生菓子」とは(「洋生菓子の衛生規範」に基づく分類) |
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このように、衛生規範上では水分40%以上、一部原材料(あん、クリーム、ジャム、寒天)使用の場合には30%、となっていました。
しかもその「洋生菓子の衛生規範」には、洋生菓子の成分規格が書かれています。
「洋生菓子」が守るべき法的基準…というほどまでには強制力はありませんが、指針にしましょうというものです。
それが、次の通りです。
「洋生菓子」の成分規格 |
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たっぷりーむ・ミルク&カスタード」を食べてみる
さあ、それではそろそろこの「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」を開封していくとしましょうか。

おお、さながらどらやきのような外観。
真ん中の切れ目からは、生クリームが顔を出しています。
それではこれを切ってみますね。
生クリームの下にはカスタードクリームが。
そして想像以上に、生地がふんわりとしています。
では、うちの娘ちゃんと半分こして、いただきまーす。

あ、美味しい!
柔らかな生地に、生クリームのとろけるような食感。
そしてカスタードクリームのコク。
それらが一体になっている。
これは半分だけと言わず、もっと欲しいな(笑)。
まとめ
今回は、「ぶらり、衛生管理屋」。
前編、後編と二部にわたって、モンテールさんで包装不良による回収対象となった新商品「たっぷりーむ・ミルク&カスタード」を実際に買いにいって食べてみる、というお話をさせて頂きました。
そしてこちら後編では、実際に茨城県にあるモンテールさんの「つくば直営店」に行っての購入レポ、さらには工場の探索、ドライブ話、さらには「洋生菓子」の解説と、食べた感想をお伝えしました。
このように、大体月イチ程度でこの「ぶらり、衛生管理屋」をやっていきたいと思っています。
何よりそれがぼくの趣味ですから(笑)。
以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識、またその世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。
