食品衛生のプロが、気になったメディアのニュースを紹介・解説したり、あるいは日々の衛生管理業務で起こったお話などを、さらっと簡単に触れていきます。
そんな日々の雑記帳、今日のお題は11月に入ってそろそろ本格的にシーズン突入を迎えたノロウイルスについてです。

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

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テレビ朝日

いよいよノロウイルスのシーズンに

簡単なニュースチェックや、日々の衛生管理の現場で起こった話をサラっとしていく、「今日の衛生管理屋の独り言」。
本日のお題は、ノロウイルスです。

11月。
晩秋が進んで、年末、なんてものも近づいてきたかなぁ、なんて思ったりもするこの時期。
そろそろ冬が顔を除き始める頃合いですね。

そして、同時に。
この頃から、ノロウイルスのシーズンが本格化していきます。
日本全国でノロウイルスの報道が出始めるのも、丁度この頃からでしょう。

事実、はやくも今週の頭頃、大阪の焼肉屋で21人の高校生がノロウイルス食中毒となる、といった報道が流れていました。

大阪府の焼き肉店で食事をした高校生21人が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、うち7人からノロウイルスが検出されました。
府は焼き肉店を営業停止にしています。

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テレビ朝日

まず解説しておくと、上の件は(これから紹介する幾つかの事例とは違って)れっきとした「食中毒」だということです。
つまり、ノロウイルスに感染した人によって食品が汚染され、その食品を摂取した人が接触感染する、という典型的な食中毒としてのノロウイルス感染です。

こうしたノロウイルス食中毒は当然ながらぼくら食品衛生の専門分野でありますが、それ以外にも、吐瀉物や糞便などからの「飛沫感染」、あるいは残存したウイルスが空気中に漂って吸入し感染する「空気感染」による感染などが多々あります。
しかしこちらは、食品を介しての感染ではないので食中毒ではありません。
そしてこうした事例は、やはり嘔吐や糞便処理が必要な保育所などで発生することが非常に多い。

例えばその前日、11月5日には北海道の旭川で、3箇所の保育所をまたいでの園児を含めた120人越えの集団感染も報じられています。

旭川市内の保育所2か所と、上川管内の保育所1か所で、園児と職員、合わせて120人あまりがおう吐などの症状を訴え、保健所はノロウイルスによる集団感染とみて感染経路を調べています。

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NHK

また和歌山県では、昨月10月末に橋本市のこども園で42人が感染。

そして更に先日、今度は同県内の海南市のこども園でやはり、27人の集団感染が連続して発生しています。

こうした事態を受けて、各自治体でもノロウイルスの注意報を発令しています。
すでに10月下旬の段階で保育所にて10件の感染事例が報告されている東京都でも、注意の呼びかけをはじめました。

参照画:東京都より
東京都より

また、全くの余談でもありますが、9月には映画「インディー・ジョーンズ」の最新作の撮影が、コロナウイルスに次いでノロウイルスによって延期していたことなんかも報じられていたりもしてました。
まあ、これは全くの余談ですけど。

参照画:映画「インディ・ジョーンズ」より
映画「インディ・ジョーンズ」より

ノロウイルス食中毒の現状はどうなっているか

実を言うと、昨年2020年はノロウイルスの感染報告数は例年に比べてかなり低めでした。
それは勿論、ノロウイルス食中毒も同様です。

ぼくらの専門である食中毒としてのノロウイルスをデータとして追ってみるとより顕著なのでよくわかるのですが、年間の事件総数は毎年200件以上になるのがここ近年の流れだったのに対し、昨年のノロウイルス食中毒の事件数は99件と、半分以下です。
当然ながら患者数もそれに伴って低く、やはり例年の1/2程度どまり。
多めの年だと1万人を越えたりするのですが(2016年などがそうです)、3,660人と少なかったのです。

もう少し詳しく言うと、冬季、1月、2月の事件数はそれほど変わらない、やもすればもっと少ない年もあったりするのですが、4月以降、パタンと見られなくなります。

これはもうおわかりの通り、新型コロナウイルスの影響、そして緊急事態宣言の影響でしょう。
店がやっていなければ、そりゃ外食先での集団食中毒だって起こりえません。
またそれのみならず、感染症対策としての手洗い、手指消毒が浸透したのも大きな影響でしょう。

作成画:ノロウイルス食中毒事件数の推移
ノロウイルス食中毒事件数の推移

上のグラフは、ぼくが厚生労働省の統計データから抜粋して作成した、過去5年間のノロウイルス食中毒事件数の月度総数の推移グラフです。
これを見れば、紺色●の2020年度の推移が他の年に比べていかに低水準か、おわかりかと思います。

ノロウイルス食中毒は、感染同様、夏場、7月から10月まではかなり発生数が低いです。
だいたい毎年数件といった1桁台どまりといったところでしょうか。
それが11月に入って増え始め、1~3月をピークにしている、といった状況が一般的です。

しかし昨年の12月の発生数は、わずか計5件。
その前年が計28件、比較的ノロウイルス食中毒が多い年だった2016年においては計76件、ですからね。

それが今年はどのようになっているのかは、まだ統計データが出ていないのでわかりませんが、東京都の感染データを見ると昨年ほどでもなさそうかな、といったところでしょうか。

参照画:東京都より

なおノロウイルスに関しては、このような軽くニュースに触れるだけでなく、もう少し詳しく、折りをみて扱うとしましょう。
それでは。

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