2021年10月29日、「フードセーフティジャパン2021」に行ってきました。
今回はその展示会のレポートや見どころ、プロの衛生管理屋としての立場から見た感想などをお伝えいたします。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

作成画:フードセーフティジャパン

 

「フードセーフティジャパン2021」、無事今年も開催

先月ここでも書いたように、2020年10月27日から29日にかけて、東京ビッグサイトにて「フードセーフティジャパン2021」が開催されました。

作成画:フードセーフティジャパン
「フードセーフティジャパン2021」の概要
  • 【開催展名】フードセーフティジャパン2021
  • 【内容】「食の安全・安心」を実現する機器・資材の専門展示会
  • 【会期】2021年10月27日(水)~29日(金)
  • 【会場】東京ビッグサイト 青海展示棟
  • 【主催】(一財)食品産業センター、(公社)日本食品衛生協会
  • 【共催】アテックス(株)
  • 【後援】農林水産省/ 厚生労働省/ 経済産業省

昨年のあのコロナ禍の中、こうした展示会類やほとんどのイベントなどが軒並み中止、延期されるなか、それでも英断を下して開催していたのが、この「フードセーフティジャパン」でした。
何せ、アジア一の規模をほこる日本最大の食品関連展示会、「食品工業展」も、昨年、そして今年と二年連続で中止になりましたからね。
そのぶんだけ、気合が違う、というものです。

さてこの「フードセーフティジャパン」は今回で12回目の開催。
その名から想像するようなフードディフェンスに関したサービスや製品のみならず、HACCPはおろか、広く食品衛生、異物混入対策、洗浄に至るまで食中毒対策などにいたるまで、食の安全・安心に関連した企業による展示が多いのが特徴です。
そのテーマも、「食の製造現場から食卓まで、安全・安心を実現する専門展示会」となっています。

そもそも、この「フードセーフティジャパン」というのは、実は今回同時開催される食品工業関連の総合展示会の1つです。
どうもこれ、全体としては「FOOD展」という名称の展示会のようで、「フードセーフティジャパン」というのは実はその中の展示会の一つでしかありません。

FOOD展の内容
  • フードセーフティジャパン
  • フードシステムソリューション
  • フードファクトリー
  • フードディストリビューション
  • 惣菜・デリカJAPAN
  • 冷食JAPAN

このように、6つの展示会が一か所の会場で開催されている、といったイメージです。
尤も会場は1つで、別に敷居などで区分けされているわけでも全くないのですが。

ま、細かい展示会内容については、前に紹介した記事や、公式ページなどを見てみてください。
今回は、実際にそこに訪れての感想や意見などをメインに書いていこうかと思っています。

挿画:フードセーフティジャパン2021
「フードセーフティジャパン2021」公式ページより

「フードセーフティジャパン2021」の感想

さて、それでは展示会内容の主な印象というか、全体的な感想のまとめから行くとしましょう。

HACCP×フードテックの新時代へ

以前のブログでお話したことですが、一昨年の2019年、そして昨年の2020年で思わされたこと。
それは一言で「HACCP一色」だということです。

こちらのブログではまだ言っていないお話なので改めて残しておきますが、食品業界、なかんずく食品衛生の世界においての一大トレンド、それがHACCPです。

ぼくもこの業界で随分と長くやっていますが、こんなHACCPトレンドは、それが大きく注目された90年代以来のことでしょう。
やれDXだ、フードテックだ、スマート工場だ。
こういうトレンドも勿論あるのですが、「フードセーフティ」、つまりは「食の安全安心」、つまりは食品衛生のこの世界ではそれ以上に、HACCPなのです。

いや、正確にはそうじゃないのでしょう。
HACCPというトレンドに、技術革新の波であるフードテック、DXが加わっている。
つまりは、「HACCP×フードテック」
これがもうそこまで、というかすでに到来している。
そういう実感を覚えました。

とはいえ、まだこなれていない新技術。
はっきり言いますが、今こうした展示会に出ている商品やサービスは、そのほとんどがHACCPなんてろくすぽ理解していない技術屋が始めたスタートアップばっかりです。

それらは、やれ開発者は食品メーカーの経歴がある、なんて言ってますが、これを読んでいる皆さん自身がもしかしたらよく知っているかもしれませんが、食品業界というのは多種多様。
例えば、食肉加工関連の技術者と洋菓子製造の技術者とは、およそ別業種のようなものですし、飲料メーカーの品管さんと惣菜製造の品管さんもそのとおりです。ってマジでわかりますよね、リアルな実感で。
それが食品製造という世界ですので、ぼくらのような多種多様な横断をしている専門家ではないと、汎用性の高いものはそんなにわからない、というのが実情だったりします。

尤も、それらもそのうち成熟し、製品やサービスとしてこなれていくのでしょうが(実際、ここ2年くらいでやっと使えそうなものも出てくるようになっていますし)、まあ一つの指針としてこのような「HACCP×フードテック」という動きがは先鋭としてあるのは間違いないでしょう。

挿画:フードセーフティジャパン2021
「フードセーフティジャパン2021」公式ページより

広がるコロナビジネス

しかし。
そんなHACCP一辺倒のこの業界にも、さらにもう一枚、トレンドというギドギドしいペンキが乗っかってきてくるようになりました。
そう、「コロナ対策」です。

様々な商品に、割と強引に「コロナ対策に」みたいな感じでひっかけている、そんなケースが散見されました。
とくに「無人化」や「ロボット化」といったこの業界の新ネタとも相性のいいそれが、今年はちょっと目立っていたのが印象的でした。

挿画:フードセーフティジャパン2021
「フードセーフティジャパン2021」公式ページより

2021年代はAI化の時代

まあ、そんなことは寧ろどちらかといえば些事でして。
一番重要というか、今回改めてより強く思い知らされたこと、それは食品製造、とくに食品衛生において、これらからはAI化が大きく進んでいくのだ、という決定的な事実ですね。

キューピーさんの取り組み例を出すまでもなく、検査工程でのヒューマンエラー防止として、AIが導入されていくケースはこれからもっともっと増えていくのだろうな。
展示物をみていると、それを思わせるものが結構目立ってきています。

おそらくは数年後、遅くともあと10年の間に、食品製造、食品衛生においてのAI化というのは、間違いなく進むことでしょう。
この2021年代というのは、おそらく大きくそこに進んでいく変革の10年となるんだろうな、そう確信させられました。

挿画:フードセーフティジャパン2021

開催されたセミナーについて

さて、展示会といえば、セミナーもまた楽しみの一つでしょう。
ぼくが参加したのは開催三日目の、2020年10月29日。
しかしちょっと到着が遅くなってしまい、結局1つしか見ることができませんでした。
これについて少し感想を残しておきたいと思います。

After コロナ With HACCP ~安全を安心につなげる~

前の展示会紹介のときに、気になるセミナーとして紹介していたこちら。
参加させていただきました。
で、感想。

「飲食店のコロナ対策の話なのかよ!」

いや、セミナー解説をちゃんと読んでなかったぼくが悪いんですけど、ちょっとセミナー内容を誤解していました。
ていうかミスリードだものな、このセミナータイトルも。

というわけで内容はといえば、最大手PCO業者の研究部門者による飲食店でのコロナ対策の実情と、それを実際に調査した大手匿名調査企業による実情紹介、といったもの。
うーん。
正直、望むものと違ってましたけど、まあこれは自業自得、なのかな…。

でも流石というか、その話の中にも非常に興味深いものも見られていました。
それは、「食品業界における感染症対策というのも、食品衛生の管理と変わらない」ということ。
おそらく、これは大手PCO企業で食品衛生に携わってきた講師の正直な実感なのでしょう。

どういうことか。
以下、ちょっとこれはHACCPや食品衛生についてある程度の基礎知識を備えたかたに対してのお話になります。

そもそも、感染症対策の根幹というのは次の3つです。

感染症対策の柱
  1. 三密(密閉・密集・密接)防止
  2. 飛沫感染対策(マスク着用など)
  3. 個人衛生(手洗いなど)

これらを食品衛生の世界に当てはめると、どういうことを意味するのか。

まず1つめの「三密防止」というのは、環境整備。
基礎的な土台として必要な条件となります。
つまりは、HACCPでいうとことの「PRP:前提条件プログラム」、要するにこれは「PP:一般衛生管理」だというのです。

そしてそのうえで、感染対策上で最も重要なポイントである2つめ。
これは感染防止における重要管理点、つまりはHACCPでいうところの「CCP」だということになる。
コロナ、飛沫によって広がる感染症という危害に対し(HA:危害要因分析)、この「CCP:重要管理点」を管理する。
これは成程、確かにHACCP的な管理だともいえるかもしれません。

そして、3つめ。
手洗いや様々な個人衛生管理というのは、ルールに基づいた監視、記録、是正だという。
つまりマネジメントシステムを回すためのPDCAサイクル、がここにあたるのだ、と講師はお話していました(とぼくなりに解釈しました)。

感染症対策の柱
  1. 三密(密閉・密集・密接)防止 →一般的衛生管理
  2. 飛沫感染対策(マスク着用など) →HACCP的管理
  3. 個人衛生(手洗いなど) →マネジメントシステム(PDCA)の実践

挿画:フードセーフティジャパン2021
「フードセーフティジャパン2021」公式ページより

やっぱり楽しい食品関連展示会

さて、そんなわけで、食品衛生の真面目(?)なお仕事のお話はここまで。
以下はゆるゆると、展示会の参加レポみたいなことをお伝えしていきます。

まずアレですよね、
やっぱり展示会は楽しい!
勿論ぼく自身のお客さんに紹介できる商品やサービスを探す、という仕事も重要なんですが、正直それ以上に、最新の技術に触れたり、トレンドや世の動向に触れたりしながら、色々と勉強になります。

またそれに加えて、食品関連の展示会といったら、サンプル品の美味しい料理がいただけるのもこれまた楽しいものです。
いや、単に「タダ飯にありつける」というのではなく、こういう新技術を使ってこのようなものが作れる、あるいはこういうものを売りにしたものがこんなに美味しい、というのを体感する楽しさってやっぱりあるんですよ。

正直、ぼくは食品衛生の専門家なので、ここらへんの製造技術については無知ですし、そもそもさほど関わるわけではない。
でも、つい「どうぞ」と手渡されればいただいてしまいますし、その場合には一通りそれらがどうやって作られているのか、どういう商品なのかを確認しています。
ていうか、それがめっちゃ楽しいんですけどね。

挿画:フードセーフティジャパン2021

ほっこり筑前煮。
まるで、手作りのよう。

挿画:フードセーフティジャパン2021

ピザも。

挿画:フードセーフティジャパン2021

このパスタが冷凍食品ってすげーな!

ついでにパンも頂いてしまいました。
しかもこれがグルテンフリー。

挿画:フードセーフティジャパン2021

おまけ:展示会を終えて

さあ、展示会の参加も終えて、帰りに一杯やって、ご帰宅。
これがいつものぼくの毎回好例の個人的なお楽しみだったりします。

ようやく緊急事態宣言も解除されたのですから、ちょっくら経済でも回してきました。

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刺し身納豆で、「陸奥八仙 特別純米 いさり火」を。
なるほど、穏やかながら旨味もあって、ほどよい軽めな酸味の上手いお酒ですな。

そして、自宅に戻っては本日の戦利品を確認。
各ブースを回っていると、結構色々なものをいただくものです。
そんな本日の戦利品が、こちらでした。

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えーと、お米のペン?
なんでも廃棄された米を材料にボールペンにしたというSDGs的なアレか。

それと、お、ゴージョーじゃないですか。
それも持ち運びのいい携帯タイプ。
これはありがたいな。

それと非常に面白いお話を聞いてきました。
まだ研究段階なのですが、なんでも大腸菌の検査に人工的な「餌」を使って、迅速に行う技術の開発がなされているのだとか。
これについては、別途触れるとしましょう。

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まとめ

今回は「フードセーフティジャパン2021」について、その感想やレポートをお伝えいたしました。

ちなみに毎年9月に開催していたこの「フードセーフティジャパン」ですが、次回は来年2022年の9月に再び戻して、9月28日から30日までの三日間の開催を予定している、とのことです。

いやあ、それにしても先日の「フードテックジャパン」など、やっと展示会の開催ができるようになってきましたね。
ここではそんな、ぼくが興味を持ったり実際に参加したりした展示会についての紹介やレポートなども書いていきたいと思っています。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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