昨日10月18日は、「冷凍食品の日」です。
と言っても、実は以外とよく判らないのが、この「冷凍食品」というものです。
というわけで、今回は実は結構ややこしいこの「冷凍食品」について、初心者でもわかるように解説をしていきます。

なおこの記事は、前回、そして今回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら②はその後編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

挿画:冷凍食品

 

ややこしい「冷凍食品」について

(こちらは二部構成の「後編」になりますので、もし以下の「前編」をお読みでなければそちらを最初に読んでいただくと理解がより深まります)

初心者でもよく判る「冷凍食品」の謎。
ちょっと込み入っていて複雑な「冷凍食品」について、今回は2回目ということで、前回のお話を踏まえながら「冷凍食品」の分類についてのお話をしていきます。

尚、上にも触れている通り、こちらは二部構成の後編になります。
というかこの後も少しばかり冷凍食品には解説していこうかと思っているのですが、とりあえずその基礎中の基礎からのお話である「前編」を読んでない方はそちらから読まれることをお勧めします。
意外と、っていうか普通にややこしい「冷凍食品」に対して、ここまでわかりやすくまとめているところってウチ以外には少ないものですよ!(自画自賛/笑)

挿画:案内

「冷凍食品」ではない冷凍された食品って!?

さて。
ここからが本題なのですが、その前にほんのちょろっとだけ、おさらいです。

前回お話させていただいたように、「冷凍食品」には4つの条件があります。

「日本冷凍食品協会」による「冷凍食品」の4条件
  1. 下処理がなされている
  2. 急速冷凍されている
  3. 品温を-18℃以下で保管されている
  4. 適切な包装がされている

…とまあ、この4つですね。
逆に言うと、この4条件を満たさないと「冷凍食品」じゃなくなります。

ですから、スーパーなどで売られている「冷凍された食品」の中にも、「冷凍食品」ではないものが実は混ざっています。

これって、結構意外じゃないですか?

挿画:驚くイメージ

これ、「冷凍食品」じゃないの!?

ここでちょっと、先の4つの条件を見てください。
とくに4番目。太字にしますね。

「日本冷凍食品協会」による「冷凍食品」の4条件
  1. 下処理がなされている
  2. 急速冷凍されている
  3. 品温を-18℃以下で保管されている
  4. 適切な包装がされている

4つめ。
適切な包装がされている
とあります。

皆さん、ここで少し疑問が浮かびませんか?
「適切な」って何だよと。

なにがどうなっていれば、「適切」なのか。
実を言うとここらへん、実は意外にも結構曖昧というかアバウトだったりします。
例えば、アルミ蒸着包装だったり、云々。

ただし、一点。
「適切な包装」の重要な条件として、日本農林規格に則った様々な情報が記載されていることが挙げられます。
(調理方法や原材料、アレルギー、栄養成分など)
この表示がないものは、「冷凍食品」とは認められません。

例えば、よくスーパーなどで白い発泡トレイなどにのった切り身魚が販売されていますよね。
あれは、

  1. 「下処理」されて
  2. 「急速冷凍」されて
  3. 「品温-18℃以下で保管」されている、けれど
  4. 「適切な包装」じゃないから、凍結状態ではあるけれど「冷凍食品」とは呼べない

のだそうです。
結果、これは「冷凍魚」という扱いになり、解凍されて販売されている魚介と同じ扱いになる。

…うわ、ややこしい!

挿画:冷凍食品?

アイスは「冷凍食品か」

さて、もう一つここで質問。

アイスクリームは、「冷凍食品」に入ると思いますか?

挿画:アイスクリーム

もうこれ、速攻で答え、言っちゃいますね。

答え、入りません。
なぜなら、アイスや氷菓は、「凍らせて食べることが前提」だからです。

そう、上で書いたように、フローズンケーキが「無加熱摂取冷凍食品」として「冷凍食品」に入るのに対し、アイスは入らない。

ええ!?
ってなりますよね。
だってアイス、「冷凍食品」の4つの条件を満たしてるやん、と。

  1. 「下処理」されて
  2. 「急速冷凍」されて
  3. 「適切に包装」されて
  4. 「品温-18℃以下で保管」されているやん、と。

この違いは、「凍ったまま食べることを前提としているか」、「解凍した状態で食べることを前提としているか」、です。
「冷凍食品」とは、保存などの目的で凍結するけれど、あくまで解凍したものを食べる食品のことを指して言うのです。

うわー、クッソややこしい!

何より、これら双方の最大の違いは、「賞味期限の有無」です。
とこのことは、また別にお話するとしましょう。

挿画:アイスクリーム

冷凍食品の分類

さて、ここでそろそろ「冷凍食品」の分類について、解説していくとしましょうか。
ここからが、食品衛生のガチな世界に突入します。

食品衛生法では「冷凍食品」をその特質や工程上から分類し、様々な規格を設けています。
つまり、「冷凍食品」であれば、必ず次のいずれかに属します。

冷凍食品の分類
  • 無加熱摂取冷凍食品
  • 生食用冷凍鮮魚介類
  • 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱)
  • 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱)
作成画:冷凍食品の分類図
冷凍食品の分類図

では、冷凍食品の区分を解説します。

まず「冷凍食品」は、食べる前の加熱調理の必要性の有無によって、大きく二つに分類されます。

食べる前の加熱調理の必要がなく、そのまま解凍して食べられるものは「無加熱摂取冷凍食品」「生食用冷凍鮮魚介類」に分けられます。
食べる前にレンジや油で揚げる、焼く、などといった加熱調理が必要なものを、「加熱後摂取冷凍食品」といいます。

さて、それでは「加熱調理の必要のないもの」には。どのようなものがあるでしょうか。

「無加熱摂取冷凍食品」とは、フローズンケーキや果実類など、凍結前の加熱の有無にかかわらず、加熱せずにそのまま食べられるものです。
お弁当などに凍ったまま入れて、やがて自然解凍し、お昼には食べられるようになっている。このような冷凍食品も、ここに属します。

また生で食べる魚介類の切り身やむき身。これを冷凍したものもありますよね。
刺身や寿司の冷凍などがそれに当たります。
これらは「生食用冷凍鮮魚介類」と呼ばれます。

挿画:冷凍食品

これらに対し、加熱をしてから食べるものを「加熱後摂取冷凍食品」と呼びます。

これらはもうその字面のまんまで、「加熱後に摂取する冷凍食品」ということです。
一般的な冷凍食品のイメージは、ここに属するものが多いことでしょう。
凍っているものを、レンジなどで温めて食べられるようにするようなものです。

挿画:冷凍食品

とはいえ、この「加熱後摂取冷凍食品」は、さらに二種類に分けられます。
その基準は、製造工程上において、「凍結の前に加熱をしたか、していないか」です。

凍結の前が未加熱なもの、あるいは一部しか加熱しないもの。
これが加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱)」です。
衣をつけただけのフライ類、あるいは焼く前の餃子などがこれにあたります。

他方、凍結前に既に加熱済であるもの、これが加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱)」です。
既に揚げられているフライドポテトや冷凍グラタンなど、多くの冷凍食品、あるいは冷凍食品として一般的にイメージして挙げられるものが、これにあたります。

…ってここまではお判りでしょうか。

挿画:冷凍食品

冷凍食品の成分規格

ではなぜ「食品衛生法」はこのようなややこしい分類を行っているのでしょうか。
それは、各々の規格基準が違うからです。

「食品衛生法」は食中毒防止のため、食中毒菌などをそれぞれの分類に対し、その菌数や有無を具体的に定めています。
実際には、一般生菌数、大腸菌群、大腸菌(E.coll)、腸炎ビブリオについてです。

作成画:冷凍食品の成分企画

この基準を守らないものは、「冷凍食品」と認めないぞ、とお上が言っているわけです。

ちなみに、さらにこれに加えて、必要な試験基準なども、「食品衛生法」では定められています。
しかも、「生食用冷凍鮮魚介類」についてはより厳しく、次のような加工基準が定められているのです。
(まあ別に全部読まなくていいです。てか取り敢えず、やれ鮮度いいものを使え、衛生的な環境で製造加工しろ、製造後すぐ冷凍しろ云々みたいなことが7点ほど書かれています

ア 原料用鮮魚介類は、鮮度が良好なものでなければならない。
イ 加工に使用する水は、食品製造用水、殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水を使用しなければならない。
ウ 原料用鮮魚介類が凍結されたものである場合は、その解凍は、衛生的な場所で行うか、又は清潔な水槽中で食品製造用水、殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水を用い、かつ、十分に換水しながら行わなければならない。
エ 原料用鮮魚介類は、食品製造用水、殺菌した海水又は食品製造用水を使用した人工海水で十分に洗浄し、製品を汚染するおそれのあるものを除去しなければならない。
オ エの処理を行った鮮魚介類の加工は、その処理を行った場所以外の衛生的な場所で行わなければならない。また、その加工に当たっては、化学的合成品たる添加物(亜塩素酸水、次亜塩素酸水及び次亜塩素酸ナトリウム並びに水素イオン濃度調整剤として用いられる塩酸*及び二酸化炭素*を除く。)を使用してはならない。
*塩酸及び二酸化炭素については、生食用冷凍鮮魚介類に対し、次亜塩素酸ナトリウムの使用等に伴いpH調整剤として使用することは認められるが、生食用冷凍鮮魚介類の加工時に塩酸及び二酸化炭素を直接使用することは認められない。
カ 加工に使用する器具は、洗浄及び殺菌が容易なものでなければならない。また、その使用に当たっては、洗浄した上殺菌しなければならない。
キ 加工した生食用鮮魚介類は、加工後速やかに凍結させなければならない。

まとめ:「冷凍食品」ではない「そうざい半製品」って?

どうでしょう、
なんとなく理解が進んできたでしょうか。
まずは、結構に面倒臭く、よく分かりづらいのが冷凍食品というものだ、というのもおわかりになったことでしょう。

このように「冷凍食品」には、法律上様々な条件のクリアが求められます。
そうではないものは、例え凍結した状態で売られていても「冷凍食品」ではない、ということも判っていただけたかと思います。

そんなわけで、ちょっと今ひとつなんだか把握しづらい冷凍食品ではあるのですが。
まずは冷凍食品の条件があるのだ、ということを押さえましょう。

「日本冷凍食品協会」による「冷凍食品」の4条件
  1. 下処理がなされている
  2. 急速冷凍されている
  3. 品温を-18℃以下で保管されている
  4. 適切な包装がされている

で。
これを踏まえた上で、しかし冷凍食品というのは、次のように分類されるのだ、と覚えましょう。

作成画:冷凍食品の分類図

さて、ここで一つ質問です。
よくスーパーの冷凍食品コーナーで売っている、衣の付いただけで凍っているメンチカツやコロッケやエビフライ。
おっと、それなりにしっかりと包装がなされているもの、としておきましょう。
これは一体「冷凍食品」でしょうか。

うん、簡単だよ、と。
「加熱後摂取冷凍食品」でしょ、と。
製造工程上、まだ挙げられていないのだから、「凍結直前未加熱」かな、と。

ハイ、これ実は「冷凍食品」ではないのです。
いや、確かに「冷凍食品」であるものもあるっちゃあるのですが、多くのものはそこに含まれません。
こいつらは、「そうざい半製品」と呼ばれるものに入ります。

えー!?
どういうこと!?
これが「冷凍食品」のややこしいところなのです。

次回、それについて詳しくお話していきましょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

挿画