本日10月18日は、「冷凍食品の日」です。
と言っても、実は以外とよく判らないのが、この「冷凍食品」というものです。
というわけで、今回は実は結構ややこしいこの「冷凍食品」について、初心者でもわかるように解説をしていきます。

なおこの記事は、今回、そして次回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその前編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

挿画:冷凍食品

 

10月18日は「冷凍食品の日」!?

(こちらは二部構成の「前編」になりますので、もし「後編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。)

皆さん、本日10月18日は何の日だか、ご存じですか?
実は、「冷凍食品の日」なのです。

知ってましたか?
ええ、知らなかった!?

はい、実はぼくもです。(笑)
こないだ、ネット上で食品関係の情報収集をしていて、そこで知りました。

1986年(昭和61年)に制定。
10月は食欲の秋であり、冷凍(レイトウ)のトウ(10)につながることと、冷凍食品の世界共通の管理温度マイナス18℃以下から10月18日を冷凍食品の日と定めました。

挿画:冷凍食品の日
冷食ONLINE

へー。
…って結構に無理矢理だなおい!

しかも10月はどうやら、「冷凍食品月間」とのこと。
「日本冷凍食品協会」とかいう冷凍食品の業界団体さんがどうもそれを提唱しているご様子です。

挿画:10月は冷食月間
冷食ONLINE

まあそんなわけで、折角の「冷凍食品の日」ですから、少しばかり「冷凍食品」について、その衛生管理の実状などを交えながら、お話していきましょう。

…と思っているのですですが!
いやねえ、
この「冷凍食品」というものが、結構込み入ってて面倒くさい!

そこで。
うちでは極力整理しつつ、自分の疑問なども含めてお話していきましょう。

挿画:冷凍食品

ここ1年で大きく変わった冷凍食品市場

さて、そんな冷凍食品なのですが。
実はその冷凍食品市場というのは、この1年強で大きく変化していたりもするのです。

これを語るのは別にぼくの仕事ではないので、それほどまでに入り込みませんが、この新型コロナウイウスによる生活様式の変化で、冷凍食品に対する認識が大きく激変。
それによって購入層が大きく広がり、商品の販売数は勿論のこと、その幅、種類と大きく変わっているという。

思い出すのは去年2020年3月に出された、臨時休校要請。
そして翌月4月からの、緊急事態宣言。
これによって全国のスーパーマーケットなどで冷凍食品が爆発的に売れ、一時品薄にすらなりました。
ここから冷凍食品市場の激変が始まった、と言っても過言ではなさそうです。

その後についても、冷凍食品は好調に売上を伸ばします。
というのも、新型コロナによって在宅時間が増え、また一方で減った買い物頻度に対し、冷凍食品は日持ちのよさ、便利さで消費者の意識を変えていくのでした。

興味深いのは、新規消費者の参入。
つまりコロナ前とコロナ後では、「冷凍食品の利用者」が圧倒的に増えた、というのです。
ある統計によれば、「冷凍食品をほとんど、あるいは全く使わない」という人が、ここ数年で大きく減っているとのこと。
つまり、利用者が増えた、ということです。

そんな2020年の「コロナ特需」から、この2021年はようやく平常を取り戻しつつあるも、やはり利用者の伸びは増えており、市場はおおむね堅調、との話をよく耳にします。

挿画:市場のイメージ

「冷凍食品」とは

さて、そろそろ話を専門の食品衛生に戻すとしましょうか。

冒頭にも触れましたが、「冷凍食品」というのは、ちょっとややこしくて面倒臭い。
実はそんな食品だったりもします。

「冷凍食品」がややこしくて面倒くさい理由。
それは、その「冷凍食品」の定義自体からして複雑だからに尽きます。
というのも「冷凍食品」とは何か、がそもそもよく判らないのです。

まず「冷凍食品」は定義からして、幾つかあります。

一つは、「食品衛生法」(厚生労働省)の規定するもの。
それから、もう一つは、「日本農林規格」(農林水産省)の規定するもの。
そして更に一つは、先にも挙げた天下り…ゲフンゲフン、業界団体である「日本冷凍食品協会」の規定するもの。

大まかにこの3つの規定に従うものが、世で言われる「冷凍食品」です。

冷凍食品の公式な三つの規定
  • 「食品衛生法」上の規定
  • 「日本農林企画」上の規定
  • 「日本冷凍食品協会」の規定

って、三つもあんのかよ!
もうここからして、既にややこしさが臭い立ちます。

ではこれらはどうなっているのか。
引用してみましょう。

あ、別に引用は読まなくてもいいですよ。
どうせ何言ってるか判りづらいから。(笑)
大丈夫、後で要点だけまとめますから。

んじゃまず、「食品衛生法」上の規定からいきましょう。
厚生労働省サマの管轄ですね。
これがほぼほぼ、「冷凍食品」の定義の法的根拠とされています。

「製造しまたは加工した食品 (食肉製品および鯨肉製品, 魚肉練り製品ならびにゆでダコを除く) および切身またはむき身にした鮮魚介類 (生カキを除く) を凍結させたものであって容器包装にいれたもの

…ね?
判りづらいでしょ?(笑)

ですから「食品衛生法」が定める「冷凍食品」の重要なポイントをまとめてみます。
要するにこういうことです。

食品衛生法」上における「冷凍食品」の規定ポイント
  • 冷凍食品」はそもそもとして、何らかの製造、加工がなされた食品である
  • 「冷凍食品」には、「食肉製品」「鯨肉製品」「魚肉練り製品」「ゆでだこ」は含まれない(それらは食品衛生法上、「冷凍食品」とは別の食品として規定されている)
  • 「冷凍食品」には切り身、むき身の鮮魚介類が含まれる
  • (でも「生カキ」は食品衛生法上、「冷凍食品」とは別の食品として規定されている)
  • 「冷凍食品」とは、容器包装されているものであり、そうじゃないものは含まれない

お、ちょっと整理されましたね。

それとここには書かれていませんが、「食品衛生法」上では、-15℃以下での保管が規定されています。
「食品衛生法」上、これらの規定から外れると「冷凍食品」じゃなくなります。

挿画:厚生労働省

では続いて、農林水産省サマの「日本農林規格」。
同じくこれも公的な法的根拠です。
これの重要なポイントだけ引用します。

(冷凍食品は)最大氷晶生成帯を急速に通過し, 品温が-18℃に達する方法によるものでなけれ ばならない

はい、
この短い文のなかに二つ重要なことが書かれています。
要するにこういうことです。

「日本農林規格」上の「冷凍食品」の規定ポイント
  • 「冷凍食品」とは、「急速凍結」がなされたものである
  • 「冷凍食品」とは、-18℃で保存されているものである
挿画:農林水産省

「急速凍結」とは

「農林水産省」による「日本農林規格」には、「急速凍結」したものが「冷凍食品」であり、そうじゃないと「冷凍食品」ではない、と書いてある。

んじゃ、「急速凍結」ってなんでしょうか。

ちなみに「急速冷凍」あるいは「急速凍結」。
これらはほぼほぼ同じ意味だと思ってください。(学術的な呼称か否の違い程度、の解釈でいいです)
んー、一般的に言われてる「急速冷凍」、判りやすく以下、こっちの呼称にしましょか。

さて。
一言で言うなら、「急速冷凍」とは食品の品質を劣化させないで迅速に冷凍させるための凍結方法のことです。

家の冷蔵庫の冷凍庫などで食品を凍らせる場合、ゆっくりゆっくりと食品を凍らせることになります。
これを「緩慢冷凍」と言います。

この「緩慢冷凍」と「急速冷凍」とは何が違うのか。
単純な話、凍結状態に至るまでの時間が全く違います。
その呼称の通り、「急速冷凍」は短時間で凍結させるものです。

短時間で凍結させるとどんなメリットがあるのか。
食品の水分が凍結する-5℃~-1℃の温度帯を、「最大氷結晶生成帯」と言います。
文字通り、水分の凍結した結晶が大きくなってしまう温度帯です。
この凍結結晶が大きくなると、食品やその組織などにダメージが加わり、品質を損ねてしまいます。
 

要するに、この「最大氷結晶生成帯」をどれだけ短時間で突破できるか。
これが冷凍食品の品質を左右します。

急速冷凍並びに緩慢凍結の比較
急速冷凍並びに緩慢凍結の比較

日本冷凍食品協会

「急速冷凍」は、この「最大氷結晶生成帯」をおよそ30分内で突破させて凍結します。
そのため凍結結晶の成長を抑え、細胞破壊などによる鮮度や風味、食感の損傷を防止させます。

しかし家庭用冷凍庫などでの「緩慢冷凍」の場合、「最大氷結晶生成帯」の通過もゆっくりです。
その結果、凍結結晶が大きくなりがち。
その結果、細胞破壊や製品の劣化、水分や旨味成分の流出などが起こり、品質が落ちることとなります。

挿画:急速冷凍された肉
急速冷凍された肉。このように氷結晶が小さい

「冷凍食品」の4つの条件

「厚生労働省」による「食品衛生法」上の決まり。
「農林水産省」による「日本農林規格」での決まり。

これらの二つをまとめて、「冷凍食品とは要するにこういうことをお上が申されているんだぞオマエら!」と言うことを、冷食の業界団体である「日本冷凍食品協会」が4つの条件として出しています。

それではその天下r…じゃねーや、「一般社団法人 日本冷凍食品協会」による「冷凍食品」の4つの条件を見てみましょう。

「日本冷凍食品協会」による「冷凍食品」の4条件
  1. 下処理がなされている
  2. 急速冷凍されている
  3. 品温を-18℃以下で保管されている
  4. 適切な包装がされている

まず、前処理がされている、ということ。
皮が剥かれたり、切られたり、という手間が加えられているということです。

つまり、魚の切り身は「冷凍食品」に入りますが、まるっと一匹凍っているものは「冷凍食品」ではない、ということになります。

また凍っている牛生肉はどうか、ということですが、これも「冷凍食品」には入りません。
上の食品衛生法の規定を見てください。
「食肉製品」だとありますね。

更に、二つめ。
自宅の冷蔵庫などではなく、急速冷凍がされていること。
これは「日本農林規格」をソースにしたものですね。

三つめの、-18℃ってのも、そう。
上の「日本農林規格」を見てください。

四つめ。
しっかりと適切な包装がなされていること。
これ、「食品衛生法」のポイント、「冷凍食品とは、容器包装されているものであり、そうじゃないものは含まれない」を独自解釈したものです。

逆に言うと、この4条件を満たさないと「冷凍食品」じゃなくなります。
ここが実はなんともややこしい。

つまり、スーパーなどで凍結されて売っているもの、皆さんが普通に冷凍食品だと思いこんでいるものにも、実は「冷凍食品」に規定されていないものが一杯ある、ということになります。

ええーっ!?

どういうことでしょう、
そうこれがややこしいところだったりします。

挿画:驚くイメージ

まとめ

今回は、「冷凍食品」とは何か、についてお話しました。
要するに「冷凍食品」とは次の4つの条件を満たすものです。

「日本冷凍食品協会」による「冷凍食品」の4条件
  1. 下処理がなされている
  2. 急速冷凍されている
  3. 品温を-18℃以下で保管されている
  4. 適切な包装がされている

まずはこれを踏まえてください。

段々込み入ってきたので、初回はこれまでにします。
次回は、更に突っ込んで「冷凍食品」の分類とその規格についてお話します。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。