皆様、こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか「絶対に!」聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」を日々、お教えいています。

防虫管理実践編。
というわけでリスクアセスメントにおいて、「状況評価」にならぶもう一つの項目、「管理評価」についてお話します。
最初に言っておきますが、今回はかなりハイレベルな話です。
ですが、できればチャレンジしていただきたく思います。
それでは、早速はじめましょう。

なおこの記事は、今回、そして次回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその前編となります)

今日のポイント
  • 管理評価」は高いレベルを求められる評価システムなので、初心者、これからの管理構築者は飛ばしてしまってかまわない
  • 管理評価とは、リスクに対してどのように「仕組み」として対応しているのか、その管理のありようを評価するものである
  • 具体的には、その防虫管理のPDCAサイクル上、何処が問題なのかを探り、評価するものである
挿画:管理評価とは

 

「管理評価」とは

(こちらは二部構成の「前編」になりますので、もし「後編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。)

さあ。
これまでの3回で、たっぷりと「状況評価」、つまりあなたの工場や厨房が防虫管理という目線から見た場合に、一体どんな状況であるのか、その現状について把握が出来たかと思います。

いかがだったでしょうか。
思いの外に環境リスクが存在していた、あるいは侵入リスクを放置していた、はたまた拡散リスクに対応していなかった、もしくは発生リスクがこんなところにあった…。
そんな感じで、改めてご自身でやってみると割と低く評点しがちなのが、この「状況評価」、というものです。
結果、なかなか合格点に至らない。
まあ、そんなものです。最初ですから。だからこそ、これから始めていけばいいのです。

さて。
それらの各リスクを見直していくなか、もしかしたらふと考えたかたもおられたかもしれませんね。
例えば、こんな感じです。

どうもうちは、そもそもからして「防虫管理」というものを作ってきてないな、とか。
うちはそこそこそういう「やるべきこと」があるのに、実際にはやってないんだな、とか。
待てよ、うちは管理として「すべきこと」をやってはいるけれど、なんとなくやりっぱなしになっているな、とか。
いやいや、うちはある程度業者にまかせているからそういうことまでは報告されているけれど、上がってくる提案を何一つやれてないな、とか…。

そういう、「防虫管理」というものへの「姿勢」そのものを、ちょっと見直してみた。考え至ってみた。
こういうかたはいませんか?
そう。
もしそういう方がいらしたら、鋭い。
実に、鋭い!

何故か。
それが、もう一つの評価軸、「管理評価」だからです。

しかし一方で。
ここまでで手一杯。頭一杯、お腹一杯。
ここまでがやっと。
そういう初心者の方も多いことでしょう。というかそれがほとんどだと思います。

なので、初心者、とくにこれから防虫管理をするのだ、という工場や厨房はここ、すっ飛ばしてください。
大丈夫。あとでまた振り返れます。
ですから、今回と次回の2回は飛ばして【21】へといっちゃって結構です。

逆に、すでにある程度の防虫管理を進めている。
改めて、うちの防虫管理を見直したいのだ。
そういう方にこそ、今回、そして次回は見ていただきたい。
そういう内容になっています。

「管理評価」が必要な工場・店舗 ※これ以外の方は次にどうぞ
  • 現状の防虫管理を見直したい、レベルアップしたい
  • 現状の管理の効果が今ひとつ発揮できない
  • PCO業者に委託している防虫管理の実情を知りたい
  • 防虫管理を委託しているPCO業者のレベルを知りたい
  • あこれから防虫管理を始めるのだが、頑張ってよりハイレベルなものにチャレンジしたい
挿画:リスクアセスメントの算出

「管理評価」とは何か

さて、準備はいいですかね。
では、「管理評価」とは何か、という話から始めるとしましょう。

そもそも「管理評価」というのは、工場や店舗、厨房において、どのように防虫管理をしているのか、もしくはできているのか。
その運用自体、つまりは工場の「マネジメント」に対する評価のことです。

だから、これから管理を始めるのだという工場さん、店舗さんは、ここはまだいらない、とはそういうことです。
いずれかそういう機会が来ますので、そのときにこそ向かいあうべきでしょう。
大丈夫、後にそうした記事も書いていく予定です。

さて。
「状況評価」とは、その名の通り、現状のハード、ソフト、それらの状況、現状においてそのリスクの度合いを知るものです。
で、それに対し。
こちらはそれらをも俯瞰して、工場、店舗という一経営組織として、どのようにそれを行う「仕組み」を回しているのか。
そのリスクに対し、どのように「仕組み」として対応しているのか。
それを知る、その特徴やウィークポイントを把握する、ということです。

挿画:管理の「仕組み」

…ね?
ちょっと難しいでしょ?
だってこれは、工場内にライトトラップが何台あるか、って話じゃないからです。

何せ、「仕組み」「マネジメント」という、目に見えない抽象性の高いものに対する評価なだけに、これにはかなりな「慣れ」が必要です。

もっと本当のことを、言いましょう。
PCO業者の専門家だって、そのなかでこれが出来るのは大手業者のうち、2割以下の、優れた、頭がよく現場知識の高いせめて5年以上となる経験者です。
ネズミ・ゴキブリの小さな業者や専門家は、「は?管理評価?ま、マネジ…え?」ってなります。
何故なら、彼らはそもそも、そういう教育を受けたり、そういうことを考える機会を与えられていません。
彼らは「駆除」の専門家であって、「管理」の専門家ではないからです。

こういうことが出来るのは、ぼくらのような現場経験をしっかり踏まえて、で、そのうえでISOやHACCPの「ネジメントシステム」というものがどういうものかを勉強し、経験し、「管理」とは、「仕組み」とは、ということに向かい合ってきた食品衛生の専門家だけです。
あ、「防虫」についてかじっただけの方々は、そもそもからして対象外ですよ。あしからず。

おっと、話を戻しましょう。
そんなわけで、ある程度、というかかなり高い経験値が必要な話ではあるのですが、しかし。
今回はそれをダイジェスト版、あくまでその簡易版としてシンプルに取り組みやすいものとし、皆さんにお伝えすることにします。

挿画:「管理」とは?

「管理」とは「PDCAサイクルを回すこと」

さて。
ぼくはこのブログでの一番最初に、「管理」とは何か、ということを話すことからはじめました。
なんでそんな話をしたか、といえば、「防虫管理」だって、「衛生管理」だって、「管理」であるからにその基盤はいつだって同じだからです。

と、この話はもう何度もしてきましたね。
詳しくは一番最初のこれ↓をもう一度読み直してみてください。

とはいえ一番基礎的で、根本的な話ですから何度でも振り返り、意識していくことが重要です。

「管理」とは
  1. ある「目的」を果たすために
  2. そのための「目標」に向かい
  3. それを果たし得る「方針」に沿って
  4. PDCAサイクル」を機能させること
作成画:「防虫管理」とは
「防虫管理」とは、のイメージ

そう、このようなものこそが、実は「管理」です。
このことは「防虫管理」も同様です。

で。
今回はこの4つのうちの、一番最後。

  • PDCAサイクルを機能させること

に焦点を当てるのです。

ある「目的」があるのだろう。
ある「目標」があるでしょう。
ある「方針」、つまりは管理する内容や計画があるのでしょう。
で、それに対し、あなたの工場、店舗では組織として、どのようにあたっていますか?
そこを俯瞰して見てみよう、というのがこの「管理評価」です。
あくまで、PDCAという「管理の仕組み」をどう動かしているか。そこを見るのです。

挿画:「PDCA」は管理の「仕組み」だ!
「PDCA」は管理の「仕組み」だ!

「防虫管理」のPDCAサイクルって?

「PDCAサイクルなんてオワコンだ。」
そういう考えは、すみませんがここで直ちに捨ててください。
そもそも、そういうことをそこらで言っている人に限って、衛生管理やPDCAサイクルにまともに向かいあっていません。
ITだのなんだのについては、ぼくは全く知りません、そういうのは他でやってください。

で。
PDCAサイクルのお話をします。
「防虫管理」という「管理」をしていく以上、そのための、つまりは防虫管理のためのPCDAサイクルを回していく必要があります。

【重要】防虫管理のPDCAサイクル
  • P(Plan:計画)→「目的」を果たすための「目標」を設定し「方針」(防虫計画や手順、ルール)を立てる
  • D(Do:実行)→現場にそれを落とし込み、従事者にルールを伝達・教育訓練し、実施してもらう
  • C(Check:評価)→モニタリングや現場の日々の現場チェック、従事者管理などによって効果を確認・検証する
  • A(Ation:改善)→現場改善(清掃や駆除)を行いながら現場情報を統合し、防虫計画へと反映させる

そう。
これこそが、工場、店舗における、防虫管理の「仕組み」です。
そしてそれがどのようにできているか、あるいはどの部分ができていないのか。
その「管理」自体を評価するのが、この今回の「管理評価」だというわけです。

逆に言うならば、防虫管理を行っていくうえで、うまく効果が出ていないのはなぜですか?
問題が繰り返し再発するのはなぜですか?
それは、このPDCAのどこかに問題があるからです。
そして、もしそれが果たされていないのであれば、それはなぜですか?

実はここでの、この「なぜ?」というところが、実は滅茶苦茶!重要なんです。
というのは、そこにこそ管理の上での「真因」があるからです。

で。

さあ、そこで質問です。

あなたの工場・店舗では、「管理」の「仕組み」、つまりはPDCAサイクル上においてどの要素に問題を抱えていると思いますか?
またそれは、どんな理由からですか?

問題

あなたの工場・店舗では「管理」の「仕組み」、つまりはPDCAサイクル上のにおいて、「P」「D」「C」「A」のどの要素に問題を抱えていると思いますか?
またそれは、どんな理由からですか?

皆さん、これに答えられますでしょうか。
勿論、すぐに答えるのは非常に難しいものです。
だからこそ、このようにじっくりとお話しているのです。

ではこれから、後編を経てこれらに答えられるようになっていきましょう。
そうすることで、あなたの工場・店舗の「仕組み」、つまりはあなただけの防虫管理の根本的な問題点がわかることになるでしょう。

挿画:問題はP?D?C?A?

まとめ、とヒント

はい、「管理評価」の前編でした。
まずここでは、「防虫管理」という「PDCAサイクル」について、覚えるようにしてください。

【重要】防虫管理のPDCAサイクル
  • P(Plan:計画)→「目的」を果たすための「目標」を設定し「方針」(防虫計画や手順、ルール)を立てる
  • D(Do:実行)→現場にそれを落とし込み、従事者にルールを伝達・教育訓練し、実施してもらう
  • C(Check:評価)→モニタリングや現場の日々の現場チェック、従事者管理などによって効果を確認・検証する
  • A(Ation:改善)→現場改善(清掃や駆除)を行いながら現場情報を統合し、防虫計画へと反映させる

うーん。
この「管理評価」の話は、やっぱりどうしても難しく、というか抽象的にならざるを得ませんね。
ですが、覚えておいてください。
「常に、抽象性こそが真実」なのです。

目に見えているある一つの事象は、あくまでそれ一つでしかありません。
ある昆虫が内部発生した。
ある昆虫が、製品に、混入した。
こうしたことも、実はそれ自体は、ある一つの「事象」なのです。
しかしそこには何らかの「根本的要因」というのがあります。
いいですか?
「事象」の裏側には、そこに至る「要因」があります。
しかもそれは、多くの問題の根っこでつながっている、ある抽象的な「真因」です。
そして、その「真因」をつかもうとするのが、この「管理評価」の目的です。
その「真因」を「管理の仕組み」というある一つのカタチに落とし込むことによって、「具体」の羅列から「抽象的」な「真因」を、見出そうとする。
つまりは、PDCAサイクルという抽象に落とし込むことで、「具体」の裏にある「真因」を探る。
だから難しいのです。

と、前編は少しばかり、もやっとするような話だったかもしれませんね。
ですが、そうせざるを得ないのです。
後編はもう少し、より実践的な話に向かっていくとしましょう。

それまでこの宿題を、よーく考え、噛み締めてみてください。

問題

あなたの工場・店舗では「管理」の「仕組み」、つまりはPDCAサイクル上のにおいて、「P」「D」「C」「A」のどの要素に問題を抱えていると思いますか?
またそれは、どんな理由からですか?

では、最後にちょっとだけ次につながるヒントを出しますね。
というか、実をいうと、もうぼくはこの本文の最初のほうに、ヒントを出しています。
というのも、こういうことを書いているんです。

(状況評価に対し)それらの各リスクを見直していくなか、もしかしたらふと考えたかたもおられたかもしれませんね。
例えば、こんな感じです。

どうもうちは、そもそもからして「防虫管理」というものを作ってきてないな、とか。

うちはそこそこそういう「やるべきこと」があるのに、実際にはやってないんだな、とか。

待てよ、うちは管理として「すべきこと」をやってはいるけれど、なんとなくやりっぱなしになっているな、とか。

いやいや、うちはある程度業者にまかせているからそういうことまでは報告されているけれど、上がってくる提案を何一つやれてないな、とか…。

あれれ、「例えばこんな感じ」として4つの例文があるぞ?
これはまるでぴーでーしーえーの4要素に合わせているようではないか!(棒読

…どうでしょうか。
少し見えてきてはきませんか?
ではその「少し見えてきたもの」をもって、次に行くとしましょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。