皆様、こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか「絶対に!」聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」を日々、お教えいています。

防虫管理実践編。
というわけでリスクアセスメントの最初の項目、「状況評価」について、その評価結果をどうまとめて算出すればいいのか。
今回は、そのやり方やそれを踏まえての今後についてお話したいと思います。
このところ、何かにつけ長めになっていましたが、今回はもう少しサラっとシンプルに行こうかと思ってます。

それでは、早速はじめましょう。

今日のポイント
  • 前回までのポイントに沿って、各リスクに対する5段階評価をしてみる
  • あこれに基づいて、現状の工場や店舗の状況を記録していく
  • 更に深刻な防虫管理上の問題、つまりは多量な「外部侵入」「内部発生」があった場合、緊急的な対応を行う必要がある
挿画:リスクアセスメントの算出

 

「状況評価」を数値に算出してみる

さあ。
前々回、そして前回で、リスクアセスメントの要、「状況評価」についてどのように行えばいいかを、具体的に解説させていただきました」。

うーん、
ちょっとボリューミーでしたね。
がっつりノリまくって書きすぎてしまった感もあるんですが、でも「ある状況を防虫管理的に評価するにはどうすればいいか」を、かなり具体的に、そして簡単に出来るように書いたつもりです。
どうぞ、噛み締めて読んでみてください。

では今回は、それらをした結果をどのように集計し、自身の環境を全体的に捉えればいいかについてを、お話したいと思います。

で、その前に。
それぞれのリスク要因について、通信簿でいうところの5段階評価で自己採点してみましょう。
そう、最優秀が5、普通なら3、ダメダメなら1。

あなたの工場・厨房の各リスク評価は?
  • 環境リスク:?
  • 侵入リスク:?
  • 拡散リスク:?
  • 発生リスク:?

どうですか、出来ましたか?

例えば、こんな感じです。
例を出してみましょう。

【例】高薙食品の「状況評価」結果
  • 環境リスク:3
  • 侵入リスク:2
  • 拡散リスク:3
  • 発生リスク:4

ほんと、これは大体で構いません。
ざっくりでいいから、なんとなく自身の工場や厨房をこのように割り当ててみるのです。
するとどうでしょう。
その工場や厨房の、どこが弱いか、どこが強いかが、なんとなく客観視出来るのではないでしょうか。

いいでしょうか、
これが、あなたの工場や厨房の「現状」です。
出来たら、4以上を狙いたいところなので、このような評価になります。

【例】高薙食品の「状況評価」結果:自己分析
  • 環境リスク:3 →灯火対策がやや弱い
  • 侵入リスク:2 →シャッターの開放時間が多い
  • 拡散リスク:3 →ライトトラップはある程度設置されている
  • 発生リスク:4 →清掃はほどほどになされている

成程、高薙食品さんはそこそこ工場内での対策をしているなかなか優れた工場なんだけれど、外部侵入の対策にちと弱そうだな。
と、そんなところが見えてきます。

そこまで見えれば、もう十分。
ぼくらプロも、まずはこのように「この工場や厨房がどのような状況なのか」を、最初に様々与えられた情報から捉えようとします。
そしてこのように、現状把握をしていくものです。

ちなみに、これはどちらかといえば優秀めな工場や店舗です。
少なくとも、管理運用がそれなりにうまく出来ている。
なぜか。
前回を思い出してください。
「発生リスク」は、清掃重視。つまり、ソフト、管理運用面がしっかりなされている工場や店舗だといえるでしょう。

挿画:状況評価

自身の工場や厨房の現状を把握する

さて。
このように評価を進めていくと、次第に次のことが見えてくるかと思います。
以下については各々、しっかりと心に停めておく、というよりは絶対に!何かに書きとめておいてください。

状況評価においてチェックすべきこと
  • 現在の工場が、状況的に良好なのか問題なのか(3以上なのか以下なのか)
  • どのリスクに問題があるのか、又は問題が発生しそうなのか
  • どのリスクに対して弱いのか
  • ソフト(管理運用)面とハード(設備構造)面のどちらに問題が偏っているのか
  • 現在、すぐにでも対応すべき重要な問題があるか否か

何故ならば、これらによって導かれた「現状」の問題について、これから改善活動や管理を行っていく必要があるからです。
そしてそのための「状況評価」だからです。

「病気」には治療や手術が必要だ

そして。
最後の一点。
現在、すぐにでも対応すべき重要な問題があるか否か
これが見つかった場合には、早急に対応しなくてはいけません。

何故ならば、健康診断をした結果、経過観察や習慣改善などではなく、致命的な病気が見つかった場合に匹敵するからです。
「状況評価」とは、いわば工場や店舗のセルフ「人間ドック」です。
ぼくの体はここが悪い、ここが弱い。
だから改善に向かっていこう。
そういうのをしている最中に、重要な病気があることが判明した。
それが、この状況です。
その場合には、「健康診断」同様、「健康ではない」のですから、専門医による治療、場合によっては手術が必要になります。

では一体、防虫管理においての「重要な病気」とは一体何か。
これについては次に詳しくお話するとしますが、結論から先に話してしまえば次の状況です。

早急に対応すべき防虫管理の問題
  • 昆虫の多量な内部発生(特に清浄区域)
  • 昆虫の多量な外部侵入(特に清浄区域)

要するに、防虫管理上の虫の問題は、大きく分けて2つです。
それは、「外部侵入」が起こっていることか、じゃなければ「内部発生」が起こっていることです。

少なからず、外部侵入というものは起こり得るものです。
ですが、その度合が過ぎている場合。
あるいは、あるべきではない「内部発生」が起こっていることが判明した場合。

これはもう「病気」ですから、治療が必要です。
ただし、素人療法ほどピントのあやしいものはありません。
こういう場合にはやはり専門医、つまりその道のプロにお願いするのがいいでしょう。
彼らは伊達ではありませんから。

まとめ、と補足

前々回、前回が長かったので、こちらはシンプルにいきます。
というか、本当であればその2回のうちの最後に入れたかったのですが、話がノリすぎて入れそこねてしまいました。

では、まとめです。
前回までを踏まえて、自身の工場の状況評価をさながら通信簿のように、5段階評価してみましょう。

あなたの工場・厨房の各リスク評価は?
  • 環境リスク:○
  • 侵入リスク:○
  • 拡散リスク:○
  • 発生リスク:○

で。
少しばかりまだ字数も余っていそうなので、ここで最後に少し補足、というかぼくオリジナルの「おまけ評価」をちょっとしちゃいましょう。

まず、あなたの工場や厨房は食品を取り扱っていますね?
というのは、例えば印刷工場だったり、容器工場だったり、そういうところではありませんね。

であれば、この結果に次の計算をしてみてください。
各リスク評価の点数に、次の数値をかけ合わせるのです。
そしてそれをすべて足してみてください。

あなたの工場・厨房の状況をまるっと総評します①
  • 環境リスク:○×1=A
  • 侵入リスク:○×2=B
  • 拡散リスク:○×3=C
  • 発生リスク:○×4=D
  • A+B+C+D=X

さあ、この「X」の数値が出ましたか?
どうでしょう、どのくらいになったでしょうか。

そして。
この数値が、30以上が「防虫管理レベル、合格」です。
まあ、プロではない目で見たおおよその評価ではありますからムラも抜けも色々あるでしょうが、まあ一般的には30くらいが合格ラインでしょうね。

そして、各々の数値でなんとなくこんな状況にあるのかと思います。

あなたの工場・厨房の状況をまるっと総評します②
  • 25以下:発生リスクへの危険性が高いです。内部発生防止のための清掃面の見直しが必要です。
  • 26~40:そこそこバランスは取れていながらも、弱いリスクを見据えての全体の底上げが望まれます。
  • 41以上:かなり管理体制が整っています。足りていない外部侵入対策をもう少し強化するといいでしょう。

さあ、どうでしょう。
ここまでやれば、それなりに自身の工場や店舗の状況が、客観的に見えてきたかと思います。

次は「病気の治療」であるプレ改善を前に、もう少し上級者ならやっておきたい「管理評価」についてのお話をいたします。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

挿画:ビジネスイメージ