本日、9月29日は、「洋菓子の日」だったことを皆さん、ご存知でしたか?
そこで今回は「洋菓子の日」らしく、「洋菓子と食品衛生の話」をしていきましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。


LAWSON

 

9月29日は「洋菓子の日」

皆さん、本日9月29日は何の日だからご存知ですか?
実は9月29日は、「洋菓子の日」なのです。

そこで本日は、その「洋菓子の日」にちなんで、「洋菓子と食品衛生の話」をしていくとしましょう。

…といってもただそれをしていくだけでは面白くない。
そこで。
「洋菓子の日」にちなんで、洋菓子でも美味しくいただきながら、お話を進めていくことにしましょう。

ところでどうして本日9月29日が「洋菓子の日」なのかといえば。
どうやら洋菓子の本場フランスでは、この9月29日は大天使ミカエルに関わる祝日らしいのです。
そしてミカエルはフランスでは、菓子職人にとっての守護聖人。なんでも「サン・ミシェル」として本国では崇められているのだという。
で、それを三重県洋菓子協会が、洋菓子のPRのために制定したのだということです。
はい、一般的な雑談は、ここまで。

そんなわけで、この9月29日「洋菓子の日」に、それを祝いながら最新スイーツでもいただきつつ、ためになーる、食品衛生のお話でもしちゃおうかなってのが今回の狙いだったりします。

あ、いらんグルメ話はいいから食品衛生の話を!というかたは、次の項は飛ばしてしまっても結構です。
…なんですが。
でもそんな中にも今日の話題に引っかかることやヒントになることも書いてあったりもしますので、出来たら、かるーくでいいので一読をお勧めいたします。
だって、そこがただのグルメブログではない、食品衛生ブログの所以であり、何たるか、ですから。

挿画:ビジネスイメージ

ローソンの新作スイーツをご試食

さて、そんな「洋菓子の日」を前に先日入ってきたのが、この食品ニュース。
ローソンは先日9月27日から、秋の新作スイーツを4種発売することを発表しました。

で、これらの4種のうち、まずは先行して発売されたのが、9月27日から店頭に並んでいる「生ガトーショコラ」、そして昨日9月28日に発売された「ホットケーキシュー」の2種だということ。
つまり本日、9月29日段階でローソンにて手に入る秋の新作スイーツは、これらだということです。

しかもこのとおり、「生ガトーショコラ」においては、「あのバスチーに続く自信作」とうたう、ドヤっぷり。
いやー、結構ドヤってますよこれは。

しかもそのローソンによれば、これらの新作スイーツたちは「コロナ禍へのストレスや不安の高まりに対し、その解消や癒やしを求めた”おうち時間”志向」が込められているのだとか。

…はあ。そっすか。
よく判らないんですけど、ではその新作を求めて、いざローソンへ。

挿画:ローソン外観

お、早速ながら早くも売られていますねー、推されていますねー、新商品。
すでに外観にもポスターが貼られています。

挿画:ローソン店頭

店頭でもほらこの通り。
とくにこのお店では、一番目立つレジ前に、どーんと陳列されていました。

では早速これらを手にとって、お買い上げ。
そのコンセプト通り、おうちに戻って”おうち時間”に、ウチの子供達と一緒に開封していきたいと思います。

挿画:ホットケーキシュー

さて買ってきました、二品。
それではサクサクと紹介していきましょう。

まずはこちら、「ホットケーキシュー」から。

ってそもそもなんやねん、「ホットケーキシュー」って。
開ける前から浮かび上がる、はてなマーク。
ホットケーキなのか?シューなのか。シューってなんなのか。靴なのか。

なんでもローソン公式サイトいわく、
「シュー生地の中にホットケーキをイン。ワンハンドで食べれるホットケーキ。
北海道産生クリームを使ったホイップクリーム、バター風味クリ ーム、メープルソースをトッピング。」
とのこと。
いやこれを読んでもよくわかんない。
ホットケーキなのか?シューなのか。シューってなんなのか。靴なのか。

おっと、いつものように標示チェック。
「名称」には「洋生菓子」とあります。

さて、ここで問題です。
洋生菓子」とは一体何でしょうか。

挿画:生洋菓子って何?

…どうでしょか、皆さん。
説明できますか?
どんなものが「洋生菓子」で、それにはどんな定めがあるのでしょうか。
さあ、その答えは次でお話するとしましょう。

ホットケーキシュー

さて話を戻して早速、あけてみると。
結構大ぶりの存在感から、ふわりと立ち上がるメープルの甘い香り。
思わず食欲をそそられます。

ぱっと見た感じ、パイのようなサクサク感の伝わるシュー生地の上に、たっぷりのホイップクリーム。
そしてその上の中央に、軽やかなカスタードクリームが。

ではいただきます…。

おお、これは面白いな。
まず、ホイップクリームのふんわりとした淡い食感に、サクっと崩れるシュー生地。
そしてそこにバターのコクを伝える、カスタード。
そしてメープルの優しい風味と一緒に、ホイップクリームの下に隠れていたふんわりホットケーキが少しだけいい塩梅に、顔を出す。

なるほど、シュークリームのようなホイップクリームとシュー生地の味わいのなかに、ホットケーキなのかな、そういうには柔らかな生地がメープルと一緒に入っている。

これは美味いぞ。
コンビニスイーツとあなどれない美味さがある。

挿画:生ガトーショコラ

さて、もう一つは「生ガトーショコラ」。こいつにいきましょう。

こちらも勿論、表示チェックから。
あ、こっちも「洋生菓子」ってありますよ!?
なんでしょうねえ、「洋生菓子」。
洋で生で菓子?
うーん、その答えは後ほどに。

では、開封。

挿画:生ガトーショコラ

なんだか佇まいが、ちっこいくせに立派なんですけど。
さすがローソンがドヤるだけの逸品。

四の五のいわずに、こちらもパクリ。

挿画:生ガトーショコラ

ふむ、思いの外に本格的だな!

しっとりとした潤いある質感に、ねっとり濃厚な風味。ビターさ。
思いの外ビターさが割と、強い。
この高級感ある大人の味わいが、ぼくは好きだな。

しかもビターなのに、重くない。
寧ろライトですらある。この濃厚さと軽さが絶妙だなあ、と思いました。

ただし、インパクトは先の「ホットケーキシュー」のほうが上。
寧ろこちらは、何度も食べたくなる飽きのこない味わい。秋だけに。いや秋来てっけど。

なお、ローソンではさらにこの後、10月上旬にはさらに新作スイーツを用意しているようです。
つまりはもう来週にはさらに2品が出されるわけですね。
こちらもぜひとも楽しみにしておきましょう。
では…。

挿画:ホットケーキシュー

 

…じゃないよ!
食品衛生の話だよ!
それじゃただのグルメレポートブログになっちまうだろ!

というわけで、はい。
以降はこれらの洋菓子でもつつきながら、コーヒーでも片手に、少しばかり「洋菓子と食品衛生」について触れていこうかと思います。

おっと先程の「洋生菓子」についても、勿論解説していきますのでお忘れなく。

「洋菓子の日」に話す「洋菓子」と食品衛生

はい、ここからが寧ろ本題です。
9月29日、「洋菓子の日」なので、「洋菓子」と食品衛生のお話をしていきましょう。

挿画:洋菓子の日

さて、その前に皆さん。
そもそも「洋菓子」とはなんでしょうか。
まあ、なんとなく想像も着くかもしれませんね。

「洋菓子」というのは、西洋に起源を持つ菓子類の総称であり、日本伝統の菓子である「和菓子」に対しての呼称です。
明治維新以降、多くの菓子類がヨーロッパから輸入され、日本国内に広がり、普及することになりました。そこで区別され、広まったのが「洋菓子」というものです。

…とここらまでは、あくまでただの「洋菓子」をめぐる雑談。
菓子の分類というのは、このように和洋の起源でなされるのが一般的です。

しかしそれ以外にも、「菓子の分類」にはいくつか方法が存在します。
例えば、使用原料だったり、製造方法だったり、その形態や特性だったり…。

しかし我らが食品衛生において、最も重要な分類方法。
それが、その保存性による分類です。
具体的には、菓子をその和洋の起源に関わらず、「生菓子」、「半生菓子」、「干菓子」の三つに分けるのです。

保存性による菓子の分類
  • 生菓子
  • 半生菓子
  • 干菓子

このように、「和菓子」「洋菓子」を問うことなく、菓子はその保存性がデリケートな順に、「生菓子」、「半生菓子」、「干菓子」と三つにわけるのが一般的です。

挿画:菓子の分類

で、これらの中でも特にその保存性が厳しく求められる「生菓子」に関しては、厚生労働省による食品衛生法に基づく「標示を要する生菓子類の定義について」で、次のように分類しています。

1 生菓子類とは、次のいずれかに該当するものとすること。
(1) 出来上がり直後において水分四○%以上を含有する菓子類。
(2) 餡、クリーム、ジャム、寒天若しくはこれに類似するものを用いた菓子類であつて、出来上がり直後において水分三○%以上含有するもの。

2 前号に該当するものとして次のようなものが考えられる。
和菓子類(今川焼、ういろう、うぐいすもち、かのこ、かるかん、ぎゆうひ、きんつば、だいふく、どらやき、切ざんしよう)
洋菓子類(ワッフル、アップルパイ、シュークリーム)
まんじゆう類(いなかまんじゆう、くりまんじゆう、酒まんじゆう、とうまんじゆう)
ようかん類(蒸しようかん、みずようかん)
だんご類(くしだんご、あんだんご、しようゆだんご、ちまき)
アンパン類等

3 餡、クリーム、ジャム、寒天等を使用したものであつても、生菓子類に該当しないものとして次のようなものが考えられる。
金玉糖、きびだんご、ちやつう、ねりようかん、マシマロ、鳳瑞、ゼリービンズ、乾燥ゼリー、ジャムサンド、餡入落がん、松露、切あん、羽二重餅、袖餅子等

…えーと。
これだと分かりづらいので、まとめ直しますね。

要するに、食衛法上「生菓子」と定められている菓子は、次のようなものです。

「生菓子」とは
  • 出来上がり直後、水分40%以上含有する菓子類
  • 餡、クリーム、ジャム、寒天(もしくはこれに類似するもの)を用いた菓子類で、出来上がり直後に水分30%以上含有する菓子類

そして、洋菓子である生菓子のことを「洋生菓子」といって、一方で和菓子のそれを「和生菓子」と言います。
そして先の引用には、洋生菓子の例として、上のワッフル、アップルパイ、シュークリームなどがそれにあたると書いてあります。

さあ、前項を読んだかたには、ここでピン!と来たことでしょう。

そうです、「洋生菓子」とは洋菓子である生菓子のことであり、先の2品もホイップクリームなどを使っていて「出来上がり直後に水分30%以上含有する菓子類」を満たしていることから、食品衛生法上これらは「生菓子」である、というわけなのです。

挿画:生洋菓子

さて、「生半菓子」「干菓子」にも触れておきましょう。
これらの分類においては、法的根拠はありません。
ですが、一般的には次の通りとされています。

「半生菓子」「干菓子」の分類
  • 半生菓子:水分含量10~30%
  • 干菓子:15%以下

ただし、一応このような法的、業界的区分はあっても、近年では微生物管理上、むしろ水分含量よりも水分活性を重視するほうが強まってきていることは強調しておきます。
ってまあそりゃそうだわな。

挿画:生洋菓子

「洋生菓子の衛生規範」とは

「洋生菓子」なるものがあって、それが食品衛生法に関わりながら、規定されている。
そこまではおわかりかと思います。

ではこれらの「洋生菓子」にはどんな定めがあるのでしょうか。

衛生規範」というのがあります。
…まあ現状のところ、正確には「ありました」となったのですが、でその話は最後に触れますが、それはさておき「衛生規範」というものがあります。

この「衛生規範」というのは、その名の通り、「規範」です。
「規範」というのは「指針」であって、「こうであるのが望ましい」というものです。
ですから食品衛生法とは違います。
食品衛生法は、法律ですから逸脱すれば法律違反、違法です。
ですが、「規範」の場合は法律違反には直ちになりません。

とはいえ、公的に定められているものですから、一般的な食品メーカー、菓子メーカーはそれに普通従います。
「衛生規範」に逸脱したからイコール「けしからん」には全くなりませんが、でもこの業界では普通に守られるべき基準です。

で、その幾つかある「衛生規範」の一つが、「洋生菓子の衛生規範」だ(った)というわけです。

「衛生規範」の対象
  • 弁当及びそうざいの衛生規範
  • 洋生菓子の衛生規範
  • 生めん類の衛生規範
  • 漬物の衛生規範
  • セントラルキッチン/カミサリー・システムの衛生規範

と、これらを「5衛生規範」として、ぼくらはこれまでその衛生指針としてきました。

例えば、「洋生菓子の衛生規範」では、この「洋生菓子」についてこのような規定がなされています。

菓子類のうち、ショートケーキ、パウンドケーキ、シュークリーム等小麦粉、卵、牛乳、乳製品、チョコレート、果実等を主要原料としたものであつて出来上がり直後において水分を40%以上含むもの(ただし、あん、クリーム、ジャム、寒天又はこれに類するものを用いたものにあつては、出来上り直後において水分を30%以上含むもの。)をいう。

うん、先の厚生労働省の定義をより適切にしたような内容になっていますね。

そしてこれらの「洋生菓子」に対し、この衛生規範ではこんな風な規格基準が設けられていました。

「洋生菓子の衛生規範」の規格基準
  • 一般制菌:10万個/g以上
  • 大腸菌群:陰性(生鮮果実部を除く)
  • 黄色ブドウ球菌:陰性
  • 油脂の酸化:3を越えないものであること
  • 過酸化物価:30を越えないものであること
  • 異物について:混入が認められないこと

なお、これらについては、あくまで衛生指針ですから、逸脱したからといって即法律違反というわけではないことは触れておきます。
そして、衛生規範ではこれらの規格基準を守るために、すべき様々なことが書かれていました。

挿画:洋生菓子の衛生規範

2021年6月に廃止された「衛生規範」

しかし、です。
こうした「衛生規範」は、このくだんのHACCP制度化、つまりは食品衛生法の改正にあたり、廃止されることになりました。
今年2021年の6月のことです。

これはどうしてかというと、つまりはHACCPの制度化とともに「衛生規範」がその役目を全うし終えたから、という認識が正しいのでしょう。

HACCPを導入するためには、その基盤としての「一般的衛生管理」が必要になります。
そしてこの「一般的衛生管理」を進めることが、とくにこの衛生規範にかかれていたことでした。

今回のお話の中心である「洋生菓子」についての衛生規範のモデルとなった「弁当及びそうざいの衛生規範」には、まず冒頭に次のようにありました。

本規範は、衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項及び望ましい事項について、施設・設備の構造及び管理、食品の取扱い等における微生物の制御を中心に集大成したものであること。

要するに、食中毒や健康を害するような異物混入などに対し、施設や設備構造といった「ハード」上、あるいは食品の取り扱いといった「ソフト」において、食品衛生上の指針をまとめますよ、ということです。
つまり、ハード的な「GMP」(適正製造基準)と、ソフト的な「PP」(前提条件プログラム)という、HACCPを構築するうえでの土台について、ここではその指針をまとめているわけです。

それらは「HACCに沿った衛生管理」を行っていくうえに、すでに同様のことが求められることになったため、行政としてはその指針がかぶってしまう。
だから廃止に至った、というのが言い分なのかと思います。

しかも、そもそもその衛生規範自体、いくら更新を重ねているとはいえ70年代に作られたものがベースです。
その次代とはすでに内容的にも時代をそぐわなくなっているという現実もあるでしょうし、そもそもからしてこの食の多様化、グローバル化が進んだこの現代に、その対象が上の5つでいいのか、ということもあるのかもしれません。

それらのこともあって、この衛生規範は今年廃止を迎えたわけです。

挿画:洋生菓子の衛生規範廃止

まとめ

本日は、9月29日「洋菓子の日」ということで、洋菓子とその食品衛生についてのお話を、しかもローソンの新スイーツを食べながら、させていただきました。

そのスイーツにも表示されていた、「洋生菓子」とは何か。
それについて、今回は解説させていただいた次第です。

まず、「生菓子」とはどんなものか。これについては、以下に解説した通りです。

「生菓子」とは
  • 出来上がり直後、水分40%以上含有する菓子類
  • 餡、クリーム、ジャム、寒天(もしくはこれに類似するもの)を用いた菓子類で、出来上がり直後に水分30%以上含有する菓子類

そして、その「生菓子」の洋菓子である、今回のご紹介のスイーツでは、これまで次のような規格が、「洋生菓子の衛生規範」では定められていました。

「洋生菓子の衛生規範」の規格基準
  • 一般制菌:10万個/g以上
  • 大腸菌群:陰性(生鮮果実部を除く)
  • 黄色ブドウ球菌:陰性
  • 油脂の酸化:3を越えないものであること
  • 過酸化物価:30を越えないものであること
  • 異物について:混入が認められないこと

これらは現在、すでに廃止はされてはいますが、しかし。
一般的には、未だ「洋生菓子」におけるひとつの衛生指針とされていることは間違いないかと思います。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

挿画:ビジネスイメージ