食品衛生のプロが、気になったメディアのニュースを紹介・解説したり、あるいは日々の衛生管理業務で起こったお話などを、さらっと簡単に触れていきます。
そんな日々の雑記帳、今日のお題はロイヤルホスト、てんやなどを手掛ける外食大手ロイヤルホールディングス(HD)での衛生管理に導入したというタブレット端末化についてです。

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

挿絵:衛生管理屋の独り言

 

ロイヤルHDで衛生管理をタブレット端末化

簡単なニュースチェックや、日々の衛生管理の現場で起こった話をサラっとしていく、「今日の衛生管理屋の独り言」。
本日は、ロイヤルHDでの衛生管理のタブレット端末化についてのニュース紹介です。

なんでも「ロイヤルホスト」や「てんや」などを手掛けている大手外食企業「ロイヤルホールディングス(HD)」が、全国350店舗にて食材管理や作業状況などの記録をタブレット端末化する、というニュースが報じられていました。

外食大手ロイヤルホールディングス(HD)傘下のファミリーレストラン「ロイヤルホスト」、天丼チェーン「てんや」など計約350店舗で、タブレット端末を使って食材管理や作業状況を記録できる業務用アプリが導入された。
このペーパーレス化によって、ロイヤルHDでは年間10万枚以上の紙を削減できる見込み。衛生水準や業務効率の向上も期待されている。

店内の衛生管理や資材管理、温度管理などの帳票類をデジタル化する。
こうしたDX的取り組みは、何年か前から出ているものですが、HACCP制度化にあたって本格的に多くの企業、とくにスタートアップ系のベンチャー企業が食品業界に雪崩込んできました。

俗に言う「フードテック」、というものです。
HACCPのフードテック化、なーんてかっこよくも言えますが、実際はどうということはないんで別に覚える必要はありません。

結果、ここ3、4年くらいですかね。
似たような「HACCPデジタルガジェット」がわんさかと出回っている状況です。
とはいえ彼らの99%はデジタルの専門家ではあって、食品衛生のことについては右も左もどころか、触れたことすらないドシロウトばかり。
自分たちの商品が何に向いているのかも、どう使えばいいのかも、正直彼らにはわかっていない状況でした。

実際、一昨年前あたりの展示会などでは、このような光景がしばしば見られていました。
なにせ展示会で説明を受ける都度、20年以上この道を生きてきたぼくにやれHACCPとはと釈迦へのうろ覚えな説法を何度も繰り返されるのには、さすがにげんなりしていた、というのが正直なところ。

まあ、とはいえここ1年くらいになってようやく現場の声も届き始め、少しは前よりもマトモなものが出回り始めたかなあ、というのがプロとしての印象ですかね。

で、このニュース。
この「カミナシ」さんのタブレット携帯を使って、帳票への記録をデジタル化するというもの。
少しばかり掘り下げていくとしましょう。

まず、このツール。
メインの目的は、「ペーパーレス」です。
つまり店内の作業場から、紙の帳票類をなくすことです。
なので、目的はあくまで第一に「業務効率改善」です。
そのためのDX化ツールです。

「いや、品質管理強化も出来るんだ」
そういう意味で「HACCP対応」をうたっていますが、これについてはちょっと弱いです。「そういうことも出来るよ」程度、です。
大体、そういう目線で作られたものじゃない。だってそもそもからして、「カミナシ」です。

これはdisっているわけでもなんでもなく、専門分野が違う、という話です。

ではどこが違うのかといえば。
例えばぼくらのような専門家がこの手のツールを導入する、あるいは開発する、とするのであれば、本来的な本質は「ペーパーレス」ではなく「問題発生防止や要因の早期発見による経営リスクの回避(目的)」であり、そのための「重要管理点のモニタリングのデジタル化(方針)」でありまたその「一元管理によるトレーサビリティ(方針)」です。
やれHACCPがどうだと言うのであれば、まずはそこです。

「このペーパーレス化によって、ロイヤルHDでは年間10万枚以上の紙を削減できる見込み。ついでに(←ニュアンスを拾ってぼくが追記)衛生水準や業務効率の向上も期待されている。」
という宣伝自体が、それを如実に物語っているでしょう。

ちなみに「ボールペンやバインダーをキッチン内に持ち込む必要がなくなり、同じ帳票を使い続ける必要もなくなったため、店舗内の衛生レベル向上にもつながったという。」というのは、かなりトンチキな見解です。

とはいえ、こうした動き、ツールの広がりや進化は今後もっともっと進んでいくのでしょう。
今後もこうしたDX化、フードテック化の動きには、ぼくらも目を向けていく必要がありそうです。

それでは。

挿画:ビジネスイメージ