皆様、こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ネット上でもオフラインでも、ここだけしか「絶対に!」聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」を日々、お教えいたします。

さて、防虫対策というものは常に何らかのリスクのために行われるものです。
ではそのリスクとは何なのか。それを前回はお話いたしました。
そしてあらゆる防虫対策というのは、そうした4つのリスク対策のいずれかであることをお話しました。
後編のこちらでは、それを踏まえたうえで、2つのことについてお話します。

まず一つは、「防虫管理」と「防虫管理」とはどう違うのか。どういう関係性なのか。
そしてもう一つは、その防虫対策と「ハード」「ソフト」という関係性。
この2つについて、解説していきたいと思います。

なおこの記事は、前回、そして今回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら②はその後編となります)

それでは、早速はじめましょう。

今日のポイント
  • 防虫管理」と「防虫対策」は、違う。「防虫対策」とはあるリスク要因を抑制する目的のために行われる「手段」のことである。
  • 4つの「リスク対策」には、その手段から「ハード(設備構造)」的対策と、「ソフト(管理運用)」的対策の2つがある
  • そしてそれらは、相互補完的な関係にある
挿画:リスクとは?

 

「防虫管理」と「防虫対策」の違い

(こちらは二部構成の「後編」になりますので、もしこちらから来られた方は、まずは前編を最初に読んでください。)

さて、防虫対策というものは、突き詰めればいずれもこれらの4つでしかないことを、前回では解説してきました。

防虫対策のリスク別区分
  1. 環境リスク対策(虫を寄らせない)
  2. 侵入リスク対策(虫を入れない)
  3. 拡散リスク対策(虫の生息を広げない)
  4. 発生リスク対策(虫を発生させない)
4つのリスクのための防虫対策イメージ
4つのリスクのための防虫対策イメージ

ここまではわかりましたかね?

さて。
ここまで来て、ですが。
この前回、今回のお話において、ぼくは「防虫対策」と言ってきたことにお気づきでしょうか。
つまり、「防虫管理」とは言ってはいない、ということがおわかりでしょうか。

そう、「防虫管理」と「防虫対策」は別モノです。
では、どう違うのか。

防虫管理」というのは、これまでも何度も解説してきました。

管理というものは、「目的」「目標」「方針」に基づいて、PDCAサイクルを進めていくことだ。
だから「防虫管理」とは、工場や店舗における昆虫汚染のリスク軽減のため(目的)、ある設定した防虫管理計画(「目標」「方針」)に基づいて、PDCAサイクルを進めていくことだ。
この話は、最初からもう何度も何度も、してきました。

防虫"管理"のイメージ
防虫”管理”のイメージ

そしてそれらにおいて、実際にどんなことを行っているか、というのが、この①「評価」、②「問題」、③「要因」、④「対策」、です。

「防虫管理」とは
  1. 評価
  2. 問題
  3. 要因
  4. 対策
防虫管理のイメージ:実際の業務は
防虫管理のイメージ:実際の業務は

右下にある、①「評価」、②「問題」、③「要因」、④「対策」
それが管理において行うべき、具体的な事柄です。

そして、それらの中の4つのうち、最後にある「対策」
今回のお話は、ここにクローズアップしているのです。

挿画:防虫管理要素の1つの「対策」

「防虫対策」とは「手段」である

では、その「防虫対策」とは何なのか。

防虫対策」とは、その「防虫管理」の管理の内外に関わらず、製品や商品に対する昆虫の生息による汚染リスクに対して行われている取り組みすべてのことを言います。

つまるところ、「防虫対策」とはある某かの問題を解決するための「手段」のことなのです。

いいですか?
「対策」とは「手段」です。
「手段の目的化」になっては本末転倒です。
「防虫対策」というのは「防虫管理」をすすめるために行う「手段」だということです。

そしてその「製品や商品に対する昆虫の生息による汚染リスク」の要因というのが、先の4つのリスクであり、故にそれらの「防虫対策」というのは4つに区分できるのだ。
そういう関係性となっています。

整理します。
まず、「防虫対策」は手段です。そしてその「目的」はあくまで「工場や店舗における昆虫汚染のリスク軽減」です。
で、それを果たすために、リスクの「要因」として、「環境リスク」「侵入リスク」「拡散リスク」「発生リスク」という4つがある。
だからそれら4つの「要因」に対する対策つまりは手段として、各々「環境リスク対策」「侵入リスク対策」「拡散リスク対策」「発生リスク対策」という4つがある。

ここらへんをよくごっちゃにする人や「防虫対策」という手段自体を目的化してしまうケースが多いので、ここで一旦整理しておきましょう。

…と、まずはここまでが、今回のポイント1つめです。

挿画:防虫対策とは「手段」である

防虫対策における、ハード的対策とソフト的対策

ふう。
ちょっと抽象的な話が続いていますが、大丈夫でしょうか。
今回もしかしたら、一番むずかしい内容かもしれませんね。

今回のポイントその1は、「防虫管理と防虫対策は違う」でした。
そして、「防虫対策というのは、あくまで何らかの手段です」というお話でした。
そのうえで、「要因」の別に、4つに区分出来る、というお話でした。
ここまでは、いいですかね?

では、先に進みます。
ここからが、後編の後半戦。ポイントその2、です。

さて、実はそれらの4つの対策は、それらもまた大きく2つに区分することが出来るのです。
それは何か。
結論から言うなら、「ハード(設備構造)」的対策と、「ソフト(管理運用)」的対策です。
つまり各対策には、それぞれハード的対策とソフト的対策の2つがある、ということです。

防虫対策の区分
  1. 環境リスク対策(虫を寄らせない)→ハード的対策 / ソフト的対策
  2. 侵入リスク対策(虫を入れない)→ハード的対策 / ソフト的対策
  3. 拡散リスク対策(虫の生息を広げない)→ハード的対策 / ソフト的対策
  4. 発生リスク対策(虫を発生させない)→ハード的対策 / ソフト的対策

ハード的対策」というのは、ハード、つまりは設備構造に対する対策です。
建物そのものだったり、機器だったり、とにかくそうした「モノ」を使うことで行う対策です。

他方、「ソフト的対策」というのは、ソフト、つまりは管理運用における対策です。
ルールだったり教育だったり、あるいは何かを人間が行うことでなされる、「ヒト」によって行う対策です。

そして全ての防虫対策は、様々な要因への対応として分けられるとともに、「何によって行うか」という、「対策の手段別」として分けることが出来ます。

4つのリスクのための防虫対策イメージ
4つのリスクのための防虫対策イメージ

だからこの図で言われている各々の対策にも、それぞれ「ハード的対策」もあれば「ソフト的対策」がある、ということになります。

たとえば、
工場内や店舗内に「虫を入れさせない」という「侵入リスク対策」。
これにおいても、色々な対策があります。

例えば外部のシャッターを自動高速シャッターにする、なんて対策もあるでしょう。
自動高速シャッターにすることで、シャッターの開閉スピードが高まり、また自動化することで、シャッター開放の頻度や時間を短くし、虫の侵入リスクを減らす。そんな対策です。
これは、わかりやすい設備としての対策、つまりは「ハード的対策」です。

一方で、外部のマンドアの開閉管理を従事者にしっかりと教えることによって、虫の侵入を減らす。
そんな管理、運用のうえでの対策も考えられます。
こちらは「ソフト的対策」です。

ここで一つポイントであるのは、それらはあくまで対策という「手段」である、ということです。
なぜなら前項でくどいように話したように、「防虫対策とは手段のこと」だからです。

重要なので、もう一回繰り返しますよ?
そもそも、「防虫対策」自体が「手段」なのです。
だから、その目的はあくまで「工場や店舗における昆虫汚染のリスク軽減」です。
そして。
それを果たすために、リスクの要因として「環境リスク」「侵入リスク」「拡散リスク」「発生リスク」という4つがある。
だからその4つのリスク要因に対する対策として、各々「環境リスク対策」「侵入リスク対策」「拡散リスク対策」「発生リスク対策」という4つがある。

で、それらにおいても「対策」という手段の種類として、設備構造的な手段である「ハード的対策」と「ソフト的対策」がある。
これらはつまり、あくまで「手段の区分」の話なのです。

挿画:ハード的対策とソフト的対策

ハード的対策とソフト的対策は相互補完的

なるほど、「侵入リスク」というリスク要因に対する「侵入リスク対策」として、自動高速シャッターを設置する。
これは確かにハード的対策だ。
それはわかります。

しかしながら、その自動高速シャッターの取り扱いがしっかりとなされていなかったらどうでしょうか。
例えば、管理が甘くていつも開けっ放しになっている。
開放設定が甘くて無駄な開放が多くなっている。
開放の高さを全開にしてしまっているから、フォークが入るさいの無駄が多い、…。

こうした問題は、ハード自体にあるのではなく、ソフトに由来しています。
それは従業員の教育だったり、シャッターの使用ルールの不備だったり、設定や使い方の問題だったり。
これらをただすためには、なんかの設備をまた導入する、というよりもヒト、ソフトによる改善が必要になるでしょう。

さて、ここでハード的対策とソフト的対策の関係性が浮上します。
何度にもなりますが、対策とはあくまで手段であり、今お話していることは手段の区分でしかありません。
だから。
目的のためには、これら「ソフト」「ハード」双方をうまく組み合わせていくことが重要となってくるのです。
というよりむしろ重要なのは、その対策の「目的」をどのように果たすか、ということであり、つまりは、双方を分離して行うというよりも、
「いかに双方を関連づけ、補完関係として実施して目的を果たしていくか」
ということが当然ながら大切になるでしょう。

このように、「ヒト」(ソフト)が出来なければ「モノ」(ハード)によって、
またその「モノ」(ハード)をいかに使うかという「ヒト」(ソフト)の管理、
といったような双方の補完関係が、ここに見られる、というわけです。

挿画:ハード的対策とソフト的対策は相互補完的

まとめ

ちょっと今回は難しかったかもしれませんね。

今回は、前編、後編と二部にわたってリスクに対する「対策」についてのお話をさせて頂きました。
そしてこちら後編では、前回を継いで2つのことをお話いたしました。

まず一つは、「防虫対策」と「防虫管理」は違いますよ、というお話です。
そして、「防虫対策」とはあくまで「手段」であり、4つに区分された「要因」についての対策がこれら4つであったことを明らかにいたしました。

防虫対策のリスク別区分
  1. 環境リスク対策(虫を寄らせない)
  2. 侵入リスク対策(虫を入れない)
  3. 拡散リスク対策(虫の生息を広げない)
  4. 発生リスク対策(虫を発生させない)

さて、2つ目。
それは、これらのいずれの対策にも、その手段上で2つに分けることが出来る、というお話でした。
つまりそれが、設備構造(モノ)に対する「ハード的対策」と、管理運用(ヒト)に対する「ソフト的対策」でした。

防虫対策の区分
  1. 環境リスク対策(虫を寄らせない)→ハード的対策 / ソフト的対策
  2. 侵入リスク対策(虫を入れない)→ハード的対策 / ソフト的対策
  3. 拡散リスク対策(虫の生息を広げない)→ハード的対策 / ソフト的対策
  4. 発生リスク対策(虫を発生させない)→ハード的対策 / ソフト的対策

つまりこれらのことから、ありとあらゆる対策は、4つのリスクに対するハード・ソフトいずれかの対策へと区分け出来ることが、わかったわけです。

…ちょっと抽象的かつ難しいお話だったでしょうか。
でもこれらを知ると、多くの防虫対策の関係性が見えてくるのです。
つまり、これらを知っておくと「どんな対策をすべきか」が見えてきます。

とはいえそこには少しばかり補足が必要かな?
あとで少しばかり追記するかもしれません。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

挿画:ビジネスイメージ