食品衛生のプロが、気になったメディアのニュースを紹介・解説したり、あるいは日々の衛生管理業務で起こったお話などを、さらっと簡単に触れていきます。
そんな日々の雑記帳、今日のお題はマクドナルドやミネラルウォーター、牛乳などでここ数日急激に相次いでいる異物混入についてです。

改めまして、皆様こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

挿画:独り言イメージ

 

マクドナルドで金属異物が混入

簡単なニュースチェックや、日々の衛生管理の現場で起こった話をサラっとしていく、「今日の衛生管理屋の独り言」。
本日は、相次ぐ異物混入についてのニュース紹介です。

このところしばらく、異物混入といったら新型コロナウイルスのワクチンばかりがずっと報じられていますが、そんな中に食品への異物混入が珍しく立て続いていました。

まずは9月22日、珍しいお話ですが、マクドナルドにて。
マクドナルドのハンバーガーの中に、金属片の異物混入が発生。
しかも購入者の女性が、それを食べて歯が欠けた、と主張しています。

日本マクドナルド(東京)は、福岡市中央区の店舗で製造販売したハンバーガーに金属片とみられる異物が混入し、食べようとした女性客の歯が欠ける被害が出たことを明らかにした。
調理器具の一部が脱落したとみられ、同社は女性に謝罪した上で、全国の約2900店で調理器具の緊急点検を行った。
同社によると、女性客は14日午後2時頃、「マクドナルド天神西通り店」でハンバーガーを購入。
店外で食べている途中、バネのような金属片の異物(長さ約4・5センチ)が混入しているのに気づき、同店に連絡した。医療機関を受診したところ、歯が約1ミリ欠けていたという。
同社広報部は「原因究明と再発防止に努める」としている。

挿画:マクドナルドのハンバー内に混入したバネ
東京新聞

一般的に想像されている以上に、マクドナルドというのは食品衛生、品質管理に極めて力を入れている企業です。

そんなマクドナルドに製品をおさめている工場で4.5センチというレベルの金属異物が発生することは、まずないでしょう。
なぜなら、それらは必ず金属探知機を通されてからマクドナルドに納入されるからです。

ましてやバネのような比較的検知しやすい形状や大きさのものが検知されないような金属探知機を使っているような工場で、マクドナルドの原料を作れることは、まずありません。そもそもとして、取引をしてくれません。
となるとこれはもう、店内で発生したという一択になります。

少しばかり興味深いので、このニュースについてはまた別途単独で扱うことにしましょう。

挿画:マクドナルド

アイリスオーヤマのミネラルウォーターにカビ混入

さて、マクドナルドでの異物混入が報じられる少し前、アイリスオーヤマグループのアイリスフーズにて製造されたミネラルウォーター「富士山の天然水」にカビが混入。
結果、約860万本を自主回収する、と発表しました。

アイリスオーヤマのグループ会社のアイリスフーズは17日、子会社が製造するペットボトル入り飲料水「富士山の天然水」と「ザ・プライス 天然水」にカビが混入した恐れがあるとして、約860万本を自主回収すると発表した。これまでに健康被害の報告はない。

このクラスの企業でこの規模の異物混入ですから、当然ながらとりひきのある外部の研究機関で、カビ同定を行っていることでしょう。
その結果、有毒物質を生成するようなカビでもないと結果が出たのでしょう。
別の報道によれば、「健康被害の恐れは少ないカビ」であると報じていますが、そういうことでしょう。

さて、カビで食品が問題になる場合、2つのパターンがあります。
それは、「製品にカビが発生してしまった」ということと、「製品にカビが混入してしまった」ということです。
一般的にそれらは同じように思われるかもしれませんが、しかしこれらは全く違う要因の問題です。

前者「製品にカビが発生してしまった」という問題の多くは、充填や包装が原因だったり、製品上の企画が原因だったりします。
それによって本来、カビの発生を抑制できるはずの製品にカビが発生してしまった、という問題です。

それに対し、「製品にカビが発生してしまった」という問題は、これは異物混入。異物としてのカビを混入させてしまった、ということです。
これは多くが、製造工程の洗浄、清掃不足、あるいはライン付近の異物対策上の問題ということがほとんどだったりします。
そして今回の場合、明らかに後者です。

またこれに対してメーカーは、「キャップを洗浄する工程で混入した可能性が高い」と答えています。
回収規模が思いの外に広がったのもそのせいと想像できますね。

挿画:ミネラルウォーターイメージ

給食の牛乳にワッシャーが混入

さらにもう1件。
おなじみの給食での異物混入。
こちらは、富山県の給食に出された牛乳の紙パック内に、ワッシャーが混入したという。
これもマクドナルドと同じ、金属の異物混入です。

富山県射水市教委は15日、市立小杉小学校(同市戸破)で同日提供された給食の牛乳1個に直径3センチのステンレス製ワッシャー(座金)2個が混入したと発表した。
健康被害は確認されていない。牛乳を納入した「とやまアルペン乳業」(富山市)の工場内で混入したとみられる。
(略)
ワッシャーは牛乳の製造過程で容器を閉じる機械に取り付けた円盤状の部品で、14日に工場で行われた機械点検の際に外したままだったという。
機械の上にワッシャーを置いたまま牛乳を製造し、容器内に落ちたとみられる。
市教委に対し、同社は工場に金属探知機を導入すると説明したという。

挿画:混入したワッシャー
毎日新聞

通常、牛乳はストレイナーを通し、目のこまかいメッシュを経て充填されるため、異物が混入することは、まあほとんどありえません。
(ほとんど、ですがね)

ではそれがここでどうして発生したのか。

上の記事をよく読むと、紙パックの包装機械の点検時に外したワッシャーであることが判明しています。
つまり、充填された牛乳内には異物はなかったのだけど、充填時に牛乳の紙パックを閉じる際、落下して異物となった、ということがわかります。
飲料の異物混入というのは、そもそもがそのようにレアケースではあるんですが、しかしこのように「製品内には混入していなかったけれど、充填時かその前後に発生したもの」であることがままあります。

しかも、この記事の最後のほうに「同社は工場に金属探知機を導入すると説明した」とあります。
てゆーか、これまでなかったのかよ!

まあ、この手の牛乳メーカーさんは小さいところが多いもんですけど、でもぼくの知っている牛乳メーカーさんは10人以下の従業員数でしたが、金属探知機を入れていましたよ。

それに富山県は、今年6月に給食の牛乳で1000人以上の大規模な食中毒を起こしたばかりです。

今回は全く話は違いますし、紙パックですから健康被害がおこるよしもありませんが、しかしそれでも「富山県内の給食の牛乳で」となれば、またかよという印象をもたれかねません。
こうした給食の牛乳メーカーというのは、このように大手メーカーではなく小規模な地産地消のメーカーであるケースも多く、ぼくとしてはそうした牛乳屋さんを応援したいところ。

ただでさえコロナウイルスの影響を受けているところも多いと実際に耳にします。
(昨年の休校の影響や、給食が中止になったりするケースも多いのです)

なんとか頑張ってもらいたいものなんですが…。

それでは、また。

挿画:ビジネスイメージ