皆様、こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ネット上でもオフラインでも、ここだけしか「絶対に!」聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」を日々、お教えいたします。

防虫対策のプロがその基礎を「本気で」教える、このシリーズ。
そろそろ基礎から実績編へと移っている今が最中といったところでしょうか。
そんなわけで前回9回目に続いて、10回目とこの二回を使ってお話するのは、防虫管理をどのように貴方の工場に導入すればいいのか、というお話です。
前回をJ踏まえて、寧ろ今回こそがメインという話になっていきます。
どうぞ、読み逃さないように。

なおこの記事は、前回、そして今回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその後編となります)

それでは、早速はじめましょう。

今日のポイント
  • CAPD」とは「C:Check(確認)」からはじまり、「A:Action(是正)」→「P:Plan(計画)」→「D:Do(実行)」とサイクルをまわす管理手法である
  • 「CAPD」はつまり、「とりあえず現状をしっかり見てみよう。管理はそこからだ」という考え。まずは現状を把握し、その深刻な問題を是正してから、管理を始める。
  • 防虫管理でいうと、最初にどんなリスクがあるのか評価活動=「リスクアセスメント」を行って、それから深刻な問題への改善活動=「是正措置プログラム」を行い、防虫管理計画を作成する、というものだ。
挿画:CAPD

 

「CAPD」とは?

さて、前回では「管理」において「PDCAサイクル」というものが如何に重要であるか、というお話をいたしました。
つまり、防虫管理を行うのであれば、そのための「PDCAサイクル」をまわすことが重要になります。

しかし、全く何もない状態であるサラの状態から、いきなり「PDCAサイクル」を回せといわれても、何をどうするかわかりませんよね。
こういう場合にはどうするのか。
「PDCA」の応用である、「CAPD」を用いるのです。

…と、ここまでが前回までのお話でした。

では、ここからが後編の本題です。
さて、「CAPD」とはなんでしょうか。
結論から言うのであれば、その言葉の通り、です。

この「CAPD」というのは「PDCA」、つまりは「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(確認)」→「Action(是正)」
というこのPDCAの一連のサイクルを、まず「Check(確認)」から行う、という考え方です。
場合によっては「CAP-Do」(キャップドゥ)とも言われます。

つまり、「Plan(計画)」の前に、「Check(確認)」→「Action(是正)」を行う、ということです。

PDCAサイクルの要素
  1. C:Check(確認)
  2. A:Action(是正)
  3. P:Plan(計画)
  4. D:Do(実行)
作成画:CAPDのイメージ
CAPDのイメージ

このように、最初にいきなり「P:Plan(計画)」をもってくるのではなく、「C:Check(確認)」から手掛けることで、「P:Plan(計画)」のハードルを下げよう、というのが「CAPD」のポイントです。

この「CAPD」のいいところは、最初の管理の導入がしやすい、という点に尽きます。
そもそも最初にいきなり「P(計画)」だと言われても、何をどう設計・設定すればいいかがわからない、ということが多い。
そういう場合には、この「CAPD」のほうが非常に実践的となるのです。
つまり、「CAPD」で管理をはじめて、サイクルが動き出したら「PDCA」へと移行する
そういう意味で、「管理」の導入時に非常に有用なのが、この「CAPD」です。

「CAPD」というのはとどのつまり、「とりあえず現状をしっかり見てみよう。管理はそこからだ」というものです。

わかりやすく例をあげましょう。

ダイエットをして「健康管理」を行うという前に、まずは自分の体重を知り、食べているものを書き挙げてみて、それから日々の運動量を知る。
つまりは、「C:Check(確認)」。
やみくもに「もう明日からお菓子を食べない!」=「P:Plan(計画)」という前に、まず現状把握をおこなって、何が問題なのか、その実情を知る。
運動不足なのか食べすぎなのか糖質が多いのか晩ごはんが多いのか、まずは評価する。
これって、大事ですよね?

で、それを踏まえて、まずはお菓子を食べ過ぎるのが致命的だからそれは今日からやめるとしよう。
つまりは初期改善としての、「A:Action(是正)」。
そのうえでそれじゃあ、体重何kgという「目標」を立てて、「方針」つまりはこういうダイエット法をしようと、ここで「P:Plan(計画)」を設定し、そして実行「D:Do」する。

こういうほうが、「管理」の最初の導入としてはいいんじゃないか、というのが「CAPD」のコンセプトです。

挿画:CHECK!?

CAPDで始める防虫管理

なるほど、「CAPD」が導入しやすい、というのはわかった。
ではこの「CAPD」を、「防虫管理」で行った場合、どのようになるでしょうか。

そのイメージが、このようなものです。

作成図:防虫管理におけるCAPDのイメージ
防虫管理におけるCAPDのイメージ

まず、「Check(確認)」、つまり「現状の評価」のために「リスクアセスメント」というものを実施します。
リスクアセスメント」とは、その名の通り、現状の「リスク」がどのようになっているかを「アセスメント(調査診断)」することです。
これは先の例でいえば、自分の体重がどのくらいなのか。どんなものを食べていて、どんな運動を日々しているのか、その評価を行うことと同意です。

この「リスクアセスメント」を実際にどのように行うか、については後に詳しく解説します。
なので、ここでは「現状把握のための診断調査」である、と思っていただいて結構です。

全ての「管理」は、自らを知ること、つまりは「現状把握」から。
これによって、御社の現状がどのようになっているかを、自己把握します。

そしてその「リスクアセスメント」の結果に基づいて、挙げられた深刻な問題については「Action(是正)」として、「是正措置プログラム」を実施させます。

おっと、またまた専門用語が出てきて、ちょっと戸惑うかもしれませんね。
ですが、例を挙げればそんな難しいものではありません。
是正措置プログラム」というのは「GMP(適正製造規範)」上での専門用語ですが、そんなことを知らなくても防虫管理は全然実施できます。
要するに、ただの「緊急的な問題への対策」だと思っていただければそれでいいです。

たとえばあなたの工場や店舗で、現状どのくらいの衛生レベルにいるのかを「リスクアセスメント」、つまり現状評価調査します。
すると最も優先すべき深刻な問題が見えてくることでしょう。
となればなんとか緊急対応することでしょう。それがこの「是正措置プログラム」です。何の難しいこともありません。

例えば、コバエ類の内部発生が進行状態であることが判ったから駆除施工する。
或いは、冷蔵庫裏のカビが根深い問題となっているから、カビ除去清掃・防カビ処理塗装を施す。
或いは、ネズミやゴキブリが発生していることが判明したから、これらの生息阻止のため駆除施工する。
こういった、個別の深刻な問題への具体的な対策、すなわち「是正措置プログラム」を最初に行う。
これがCAPDでいうところの、「C」に続く「A:Action(是正)」にあたります。

作成画:CAPDで始める防虫管理のイメージ
CAPDで始める防虫管理のイメージ

さあ、「C:Check(確認)」=「リスクアセスメント」の結果、出てきた緊急的な問題に関しては「A:Action(是正)」「是正措置プログラム」によって問題解決した。
こうしてある程度の問題の解決をはかった上で、防虫計画のプランニング=「P:Plan(計画)」を手がける。

こうした「CAPD」的なやり方のほうが、初動としてはスムーズかつ効果的に防虫管理を導入出来るのは間違いありません。
そして勿論、これらの上で「PDCAサイクル」が駆動し始めたのであれば、それを継続させればいいのです。

挿画:PDCAサイクル

まとめ

今回は、前編、後編と二部にわたって「CAPD」についてのお話をさせて頂きました。
そしてこちら後編では、前回を継いで「CAPD」の具体的な内容について、解説いたしました。

どうでしょう、
おわかりいただけましたでしょうか。

まず「CAPD」というのは、「P:Plan(計画)」から始まるのではなく、「C:Check(確認)」から始まるマネジメントシステムです。

PDCAサイクルの要素
  1. C:Check(確認)
  2. A:Action(是正)
  3. P:Plan(計画)
  4. D:Do(実行)
作成図:防虫管理におけるCAPDのイメージ
作成図:防虫管理におけるCAPDのイメージ

そして、それを実際の防虫管理へと落とし込むと、このような内容となります。

作成画:CAPDで始める防虫管理のイメージ
CAPDで始める防虫管理のイメージ

では、次はこれを踏まえた上で、どのように防虫管理を構築していくかについて、お話していくとしましょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

挿画:ビジネスイメージ