皆様、こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ネット上でもオフラインでも、ここだけしか「絶対に!」聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」を日々、お教えいたします。

防虫対策のプロがその基礎を「本気で」教える、このシリーズ。
7回目のこちらは前【06】の後編。「虫をどのように区分するか」ということについて、前回に引き続いてお話していきます。
今回はメチャクチャ重要な基礎中の基礎となるお話ですので、どうぞよーく読んで腹に落とすようにしてください。

なおこの記事は、今回、そして次回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその前編となります)

それでは、早速はじめましょう。

今日のポイント(前回分含む)
  • まずそもそもとして、防虫管理にせよ「管理」にはそれを行う「管理領域」というものがある
  • 防虫管理という「リスクマネジメント」において、その虫というリスクの「要因」は、管理可能な領域の「内側」にあるのか、それとも領域外の「外側」にあるのか、でまずは区分するとよい
  • すると、工場や店舗に生息しているあらゆる昆虫は、その要因から「外部侵入要因昆虫」なのか「内部発生要因昆虫」の二つに区分される
  • さらにこれら「外部侵入要因昆虫」と「内部発生要因昆虫」は、それぞれの要因ごとに「ソフト的要因」と「ハード的要因」に区分される
  • どうしてこのように区分するのかというと、それぞれの「問題」の「要因」によって、そこに求められる「対策」が異なってくるからである
要因で区分:外部侵入と内部発生

 

「要因」で虫を区分する

(こちらは二部構成の「後編」になりますので、もし以下の「前編」をお読みでなければそちらを最初に読んでいただくと理解がより深まります)

さて、前回までで幾つか重要なことを学びました。
ここで少し整理しておきましょう。

まず、そもそもの話として、防虫管理にせよ、「管理」というからには管理を行う「対象(領域)」というものがある。
ここまではいいでしょうか。

防虫管理とは
防虫管理とは

で、これを踏まえた上で、虫について区分けする。

まず虫は、「要因」で分けること。
これが一番重要だ、というお話です。
そしてそれはどういうことかというと、「その虫の生息の要因が管理領域の外なのか、中なのか」ということです。

そして、その「要因」から区分すると、工場や店舗にいる虫というのは2つに分けられる。
それが、「外部侵入要因昆虫」か「内部発生要因昆虫」かである。

外部侵入要因昆虫」とは、外から入り込んだ虫。
つまり、虫というリスクが、管理領域外から入ってきた、というもの。

内部発生要因昆虫」とは、中で生まれ育った虫。
つまり、虫というリスクが、管理領域内で生じた、というもの。

このように、「虫がいる」という現象、つまりはそこにあるリスクはリスクマネジメント(=リスク管理)上において、どう分類するのか。
リスク管理領域の外から来た「外部侵入要因昆虫」なのか、それともリスク管理領域の中で生じた「内部発生要因昆虫」なのか。

「虫というリスク」をどう分類するか
  • 外部侵入要因昆虫:管理領域外からリスク(虫)が入ってきた
  • 内部発生要因昆虫:管理領域内でリスク(虫)が生じた

さあ、ここまでが前回のお話のおさらいです。

どうでしょうか。
こう捉えてみると、「防虫管理」というものが、生物学的な存在ではなく、いかに経営管理、企業の経営上のリスクマネジメントであるかがよくわかるかと思います。

前回にもお話しましたよね、「防虫管理」というものは、経営上の投資である、と。
それがこのように、ここにも明らかにあらわれているわけです。
どうでしょうか、これまでのことが色々とつながってきたと思いませんか?

つながる防虫管理

なぜ虫を「要因」によって区分するのか

ここで、こう考えるかたも、もしかするといるかもしれませんね。
いや、これって当たり前の話じゃね?
だってリスクが生じるのって「外から」か「中から」の2つしかねーじゃん。
と。

うん、そうなんです。考えてみると実に当たり前なんですよ。
確かに当たり前の話なんですけど、でもこの「当たり前」さこそが、物凄く重要なんです。
何故か。

理由は幾つかありますが、まず最大の理由は、これ。
昆虫というリスクがどこにあるのか、その「要因」によって、とるべき「対策」が変わってくる
ということでしょう。
つまり「問題」に対し、その「要因」によってうつ手(「対策」)が変わる。

つまり、こういうこと↓です。

「要因」(リスクマネジメント)から考える昆虫の分類
「要因」(リスクマネジメント)から考える昆虫の分類

つまりこれは、リスクの「要因」が違っては「対策」も変わってきちゃうでしょ、というお話なのです。

昆虫の要因別分類(外部侵入・内部発生)を誤ると防虫対策は失敗します

「要因」を明確にしないと「対策」が立てられない

はい、ここで防虫管理の4要素をもう一度思い出してみてください。
いいですかー、
防虫管理というのは、「評価」、「問題」、「要因」、「対策」。
この4つ、でしたね。
思い出しましたか?

「防虫管理」とは
  1. 評価
  2. 問題
  3. 要因
  4. 対策
評価・問題・要因・対策

「虫」がそこにいる、という②「問題」
これに対し、③「要因」がどこにあるのか。

いいですか、
今ぼくは、③「要因」どこにあるのか、と言いましたよ。
では、その「どこ」とは何か。
くどいようですが、それが「管理領域」の外なのか、それとも中なのか、という話をここではしているわけです。

つまりそれは管理領域内、つまりは工場や店舗の「中」、「内側」にリスクを孕んだ「内部発生要因」なのか、
それとも管理領域外、つまりは工場の「外」、「外側」で起因し、それが内部に入りこむことによってリスクが生じている「外部侵入要因」なのか。
要因」分析というレベルにおいて、この二つはまるで異なってくるはずです。

管理領域

外部侵入・内部発生も各々、ソフト要因・ハード要因に分けられる

そして。
もう一歩そこから進みますが、それら「外部侵入要因昆虫」と「内部発生要因昆虫」においても、更にそれら自体の要因別で「ソフト」・「ハード」から大きく二つに分けられることになります。

要因を分析し、区分けする
  • ソフト(管理運用面)的な要因:ヒト
  • ハード(設備構造面)的な要因:モノ

まずは、「外部侵入」というリスクの「要因」が、「ソフト(管理運用)」に由来するもの。
例えば、よくあるケースが、包材や資材の搬入の際に、それらに付着して持ち込まれてしまうという状況の場合がそうですね。
或いは、ドアを解放状態にしてあるために、昆虫の侵入をシャットアウト出来ない、といった状況の場合もそこに含まれるでしょう。
その一方で、施設の封水トラップなどが壊れていたり、ドア自体に隙間が生じている、といったときは、これは「ハード(設備構造)」に由来する問題であるでしょう。

とこのように考えると、「内部発生要因昆虫」についても、同様のソフト由来・ハード由来としての区分けが出来るはずです。
例えばその「内部発生」は、清掃不足などといった「ソフト」に起因して発生してしまったのか。
それとも機械トラブルなどが生じて、「ハード」に起因して発生してしまったものなのか。
こうして「内部発生要因昆虫」もまた、ソフト由来、ハード由来と、その要因に基づいて分けることが出来るでしょう。

そうです、そろそろご理解出来たでしょうか。
何故このように、虫を「要因」別に区分けしなければいけないのか。
それは上のように、その「要因」によって、次のうつべき「対策」が全く変わってきてしまうからです。

すげーチャクチャ当たり前の話ですが、対策がズレていたら「対策」の効果はありません。
つまり、やるだけ無駄になります。

ソフトorハード

「対策」が効いていないのは「要因」がズレているから

逆に言うのであれば、なにがしかの防虫対策を行った場合、その効果が全くない。あるいはそれほど効果がみられない。もしくは、いったんは何となく落ち着いたようだけど、またすぐに問題がぶり返してしまった、再発してしまった。
こんな場合は、えてしてその「要因」を取り違えていることが多いです。

いや、多いも何も、すべてが皆そうです。
「要因」が間違っているから、それに対する「対策」が効くわけがないのです。
「対策」が効いていないのは、そもそもの「要因」が間違って、ズレているからです。
こんなことは日常茶飯事のように起こり得ることです。

どういうことか。
少し例を出して考えていきましょう。

例えば、現場でよくあるケースが、先のような例題に対し、1匹の虫を前にしてやみくもに上司が「清掃を強化せよ」という指示を出しているような事例です。

これは、ここで言うところで、「内部発生要因昆虫」の「ソフト上の不具合に起因」する虫に対し、「ソフト」の対策をせよ、という指示ですね。
そう、このような状況です。

「要因」(リスクマネジメント)から考える昆虫の分類
「要因」(リスクマネジメント)から考える昆虫の分類

もしそれが、しっかりと正しく要因分析されていて、そうした清掃不足に起因した問題であればそれでいいでしょう。

しかし、それではこの虫が、外壁の壁面のクラックのような隙間から入ってきている、つまりここでいうところの「外部侵入要因種」の「ハード上の不具合に起因」しているという、まるっきり逆の「要因」をリスクとしていた虫だったらどうなるでしょうか。

「要因」(リスクマネジメント)から考える昆虫の分類
「要因」(リスクマネジメント)から考える昆虫の分類

いや、清掃によって工場内が綺麗になるのは、決して悪いことだけではありません。
ですが、この問題については「要因」自体が違っているのですから、問題解決には全くならないでしょう。
よってこの場合は、上の図のように、「外部侵入要因昆虫」に対しての「ハード」的な対策が必要になります。

しかしここで上司から出された指示は、清掃というあくまで「内部発生要因昆虫」の中の「ソフト」に起因する、上でいう「×」の対策。
これでは、完全にピントがズレてしまっています。

すると、折角の問題に対しての改善活動が、期待している効果を生まないことになります。
これでは防虫管理という経営上の投資が、リターンにそぐわなくなることでしょう。
企業において投資が効果(リターン)を生んでない、ということは経営において深刻な問題、であるでしょう。
つまりこの上司の判断は、せっかくの会社のリソースを無駄使いしたものであり、それは企業としてはリターンを産まない行動であり、無能、という烙印をこの企業という組織内に押されてもしかるべきもの、ということになります。

防虫管理というリスクマネジメントのイメージ
防虫管理というリスクマネジメントのイメージ

まとめ…と本音

いかがでしょうか、少し難しくなってきてこんがらかってしまってはいないでしょうか。

まず防虫管理上の「虫」の分類としてそのリスクの「要因」に基づいて、「外部侵入要因昆虫」と「内部発生要因昆虫」というものがあります。

そして今回のお話のとおり、それぞれ各々に、「ソフト(管理運用)上の不具合由来」というものと、「ハード(設備構造)上の不具合由来」という、「要因」上の分類があるということを是非とも覚えておいてください。
(勿論、ただ分類するのではなく、それはこうしたリスクマネジメント上の「要因」に基づいている、ということが重要です。)
まずは防虫管理は、すべからくこの分類からがスタートラインです。

防虫管理のスタート

さて。
今回、いかがでしょうか皆さん。
実のところ、この「外部侵入」か「内部発生」かという考え方は、防虫管理というものを進めるにあたり、一番最初の知識としてあちらこちらで真っ先に言われているものです。

今回、ここで「防虫管理の基礎知識」を伝え始めて、6回目です。
6回目にして、その内容が「昆虫の、外部侵入と内部発生」でした。
これ、普通は防虫管理の教科書の1ページ目に書いてあるものです。

ですから、ちょっと工場や店舗での防虫管理をかじったという人は、そういう話を前にしてつい、
「え?防虫管理の基礎知識?外部侵入か内部発生か?そんなの知っているよ」
と、なりがちです。
いや、なるのです。
なるものなのです。

んじゃわかった、外部侵入、内部発生、そんなのは知っている、なるほど。
ではどうして「外部侵入と内部発生」に分けるのですか?
その理由はどうしてですか?
こう聞くと、大概は口をつぐんでしまいます。
実はこれ、多くのプロだという専門PCO業者に対しても同じです。

何故か。
何故ならば、その「何故」を教えないからです。
「何故、外部侵入と内部発生を区分するのか」をちゃんと教えないからです。
教える知識がないからです。
それは、考えていないからです。考えたことがないからです。
まともに、こうやって、真剣に、本腰を入れてそこに向かい合ってないからです。
「そういうものだ」としか考えていないからです。

ぼくが言っていることがおかしいというのであれば、では現在、実際に、ネット上を含めて、大手防虫企業の講義も含めて、防虫管理の基礎を調べてみてください。
絶対に、その1ページ目にこうあります。
虫を区分してください。それは「外部侵入」と「内部発生」です。以上。

さながら、1+1が2であるように、そういうものだ。以上。
そう書かれているのですよ。
そこに「何故か」なんて存在しません。
でも、そんなわけがないのです。
そこには、当然ですが必ず理由があるのです。
それも論理的、そりゃ確かに!という理由が。

そこをぼくは、6回もかけてじっくりと基礎中の基礎を伝えてきました。
大体、その防虫管理の一番の基礎のこの「外部侵入」と「内部発生」なるものについて、ここまで詳しく、論理的に書いてあるものは存在しません。
ぼくはこの世界で20年以上やっているからよく知っています。

なのでマジでこれらは、有料級のお話です。
ぜひともよーく踏まえておくようにしてください。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。