★公開日: 2021年9月6日
★最終更新日: 2021年9月7日
皆様、こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ネット上でもオフラインでも、ここだけしか「絶対に!」聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」を日々、お教えいたします。
防虫対策のプロがその基礎を「本気で」教える、このシリーズ。
6回目となる今回は、そろそろこれまでの基礎を踏まえた上で、より具体的な虫の話に入っていきたいと思います。
まずは防虫管理を行う上での最初にすべきお話、つまりは虫をどのように区分けするか、というお話をさせていただきます。
これ、今回もメチャクチャ重要です!
なおこの記事は、今回、そして次回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその前編となります)
それでは、早速はじめましょう。
今日のポイント(次回分含む) |
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まずは「基礎」をしっかり踏まえるべし
さて、改めまして。
ここでは初っ端から、論理的で抽象的な話をしまくってきました。
はっきり言って、防虫管理、衛生管理においてこうした切り口で説いているものを他で見ることはないでしょう。
ですが、これらは衛生管理、防虫管理の最も基礎的な「ロジック」です。
私自身、この世界をそれこそ長年にわたって経験してきていますが、こうしたものを理解している人(業者)とそうでない人(業者)では、管理結果が全く違います。
いや、そりゃそうでしょう。だって何でもそうですが、土台がぐらぐらな上に管理を構築したって、安定するわけがないのです。
それはこの世界だって、何処だって同じです。
このブログでは、これから少しずつ、具体的な管理のやり方についてお話していきます。
ですが、これまで述べたような考え方は、管理の基本中の基本、ベースの概念になります。
何度も戻っては繰り返し話すことになるとは思います。
その都度、どうか改めてよく考え直すようにしてください。

管理には「領域」がある
ということで、本題です。
そろそろ本格的に虫のお話に入っていくとしましょう。
まず最初は、虫をどう分類すればいいのか、という話です。
おっとその前に一点だけ。
「外部侵入?内部発生?そんなの知ってるよ」
そう言う、そこの品管さんや店長さん、工場管理者さん。
むしろそういう方にこそ、実は読んでいただきたい!
どうぞ、今回の前編と次の後編の内容を、一度読んで改めて考えてみてください。
実はそんなわかった気になっているような話ではないことがわかるかと思います。
と同時に、防虫管理の業者さんが毎月何となく出してきている結果データがなんでそうなっているのか、きっと再確認されることでしょう。
(というかそれも予め説明しない、出来ていない時点で、業者さんのレベル上の問題があると私は思いますが)
さて。
工場での防虫管理において、「虫」をどのように分類すればいいのか。
それを行う前に、思い出すべきことがあります。
一番最初にぼくは、「管理」のお話をしました。
その際、一番最後に「管理というものには必ず管理する対象(領域)がある」といったことを覚えておられるでしょうか。
記念すべき一回目の、一番基礎の基礎の本当に基礎のお話です。
「管理」には「目的・目標・方針」があり、またそれを行うべき「対象(領域)」が必ず存在する。
そういうお話でした。
忘れていたら、あるいは読んでいなかったらもう一度読んでみてください。
何よりも重要なお話です。
このお話の最後の「まとめ」でちろっと触れている、管理に対して「何を?」という「対象(領域)」という考え。
これが今回、ようやく登場してくるのです。

この図でいうところの、一番下の土台の丸○ですね。
つまり「管理」というものには、その対象となる「管理領域」がある、という考え方です。
この「管理領域」という考えを、今一度念頭に置いて、次に読み進めるようにしてください。
これ、結構重要なんです。

工場や店舗内の「虫」をどう「区分」するか
「管理には「領域」がある」。
こんなことはすげー当たり前に思うかもしれませんが、しかしここでその重要さが出てきます。
どういうことか、読み進めていただければ、すぐにわかることでしょう。
というわけで、さあ。
いよいよ「虫の区分」です。
まずここで何よりも大切なのは、経営上の「リスクマネジメント」において「虫」というリスクをどう捉えて管理すべきか、ということです。
つまり、そのリスクはどの「領域」にあるものなのか。
さあ、早速出てきましたね。
工場や店舗という、管理可能な領域の「内側」なのか、それとも領域外の「外側」なのか。
こうした、リスクの「要因」によって、まずは虫を大きく二分に分類する。
ここから、防虫管理の基本がスタートします。
いいですか、これは昆虫学者のように生物学上で分類するのではありません。
むしろ、虫がそこにいるという「現象」上での分類です。
そしてあくまで経営におけるリスクマネジメントとして、虫という「リスク」をどう捉えるのか、という話なのです。
重ね重ねですが、重要なのは「リスクに対する要因」に基づいて分ける、ということです。
何故なら、これは「防虫管理」、つまり経営上でのリスクに対してのマネジメントだからです。
すると、その虫というリスクの存在が、管理可能な領域外からやってきた「外部侵入」を要因としているものか、そうではなく管理可能な領域内で生まれた「内部発生」を要因としているものか、に二分されることがわかるでしょう。
「虫というリスク」をどう分類するか |
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「外部侵入要因昆虫」と「内部発生要因昆虫」
もう少し具体的な例題を出しながら、考えるとしましょう。
管理者である貴方のところに、現場から、1匹の虫の発見情報があがってきました。
貴方はこれをどう捉えますか。
そう、この間も挙げさせて頂いたお題です。
虫という生き物は、何もない空間からいきなりポンと出てくるような魔法の類ではありません。
だって、「ジョジョ」のスタンドでもなければ、「HUNTER×HUNTER」の念でもないのです。
(あ、これは厳密にいえばここでいう内部発生要因ですね笑)
ということは、必ず次のいずれかによって、そこへの存在が決定づけられていることになります。
- 外部侵入要因種:工場や店舗の外から、入ってきた存在
- 内部発生要因種:工場や店舗の外から一旦入ってきたものが繁殖し、生まれ育った存在
つまりは前者、外からふらっと入り込んだ、外生まれの「外部侵入要因」の虫なのか。
それとも後者、この虫の前に別の先祖である虫が入り込んで、そいつが施設の中にいすわり、卵を生んで繁殖し、それが生まれて育って、そしてこの虫となったという中生まれの「内部発生要因」の虫なのか。
これを見極め、見定めることこそが、防虫管理の基礎中の基礎、重要中の重要になります。

まとめ
長くなるので、ここらへんで前編を区切ることにしましょう。
まずこの前編では、工場や店舗内にいる虫をどう区分するかについて、お話いたしました。
「虫というリスク」をどう分類するか |
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ではこれを踏まえて、後編ではさらにその次の、それら「外部侵入」「内部発生」をさらにどう区分するか、またそう区分する理由などについてお話していきたく思います。
以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。
