★公開日: 2021年9月4日
★最終更新日: 2021年9月6日
皆様、こんにちは。
食品衛生コンサルタントの高薙です。
ネット上でもオフラインでも、ここだけしか「絶対に!」聞くことの出来ない神髄中の神髄、「プロが本気で教える衛生管理」を日々、お教えいたします。
防虫対策のプロがその基礎を「本気で」教える、このシリーズ。
5回目の今回は、衛生管理の改善活動というのは、経営における投資活動だ、というお話をさせていただきます。
今回のお話は、衛生管理、防虫管理を企業として行っていく上で上で非常に重要なことです。
なのに他でこうした話がされていることを、ほとんど聞きません。
いいですか?言っておきますよ、これがオリジナルですからね!
おっと、ちょっとは落ち着いて、んじゃ。
それでは、早速はじめましょう。
(今回は非常に重要なお話なので、下の「概要」のボリュームも大きくなってしまいました)
今日のポイント |
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Contents
おさらい:「要因」はソフトとハードに分けられる
前回は、問題に対しての「要因」を、「ソフト」、「ハード」として分類しましたね。
今回のお話も、ここを踏まえてのものとなりますので、もう一度再確認させていただきますよ。
「ソフト」とは、工場の「管理運用」、つまりは人間(ヒト)にまつわる要因。
「ハード」とは、工場の「設備構造」、つまりは施設や物品といったモノにまつわる要因。
なんらかの防虫上の問題が生じているのは、その「ソフト」「ハード」いずれかによって引き起こされているものであって、その「要因」を定めるのが重要です。
これを取り間違えると、対策の効果がズレますよ、効果が期待できなくなりますよ、要はいっくらコストをかけてもプラスになりませんよ、というお話でした。

さあ、ここでもう少しだけ考えてみましょう。

経営資源としての、ヒト・モノ・カネ
「ソフト」とは、管理運用という形のないものであり、言ってみれば「ヒト」に関する要因です。
「ハード」とは、設備構造といった形ある物理的なものであり、言ってみれば「モノ」に関する要因です。
そして対策を施すということは、そこに対する「投資」、つまりは「カネ」です。
経営資源とは |
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「ヒト・モノ・カネ」。
これは、イギリスの経営学者であるエディス・ペンローズにより提唱された、「経営資源(リソース)」のことを意味します。
参考のため、ウィキペディアのURLを貼っておきますが、要するに、
・「ソフト」=「ヒト」
・「ハード」=「モノ」
ということ。
そして、防虫管理上においても、衛生管理上においても。
工場で起きた「ヒト」由来の問題、或いは「モノ」由来の問題のため、
そこに「カネ」を投資し、改善活動を果たすことによって、経営を安定化させる。
つまりこれらは、貴方の企業の重要な「経営資源(リソース)」のためなのですよ、ということです。
だって、この一連の活動を、一般的には「リスクマネジメント」と呼びますよね?

経営資源=ヒト、モノ、カネ、情報。じゃあ「情報」って?
そして。
細かい経営学的なお話はここでは省きますが、
実はこの「経営資源(リソース)」である「ヒト・モノ・カネ」に、
もう一つ最近では「情報」を加えて「四大経営資源」と考えることが、昨今の経営学の主流となっています。
四大経営資源とは |
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さあ、ここで言うところの「情報」とは何でしょうか。
勿論ここでは、衛生管理状況の情報のことです。
では、その具体的な衛生管理状況の情報とは一体なんでしょうか。
もうお判りですね。
それこそが、防虫管理、衛生管理の根幹である「評価」、「問題」、「要因」、「対策」の4要素です。
つまりはそれら4要素をデータ化した、防虫管理計画書と報告書。
それらこそが、あなたの工場、企業における貴重な「経営資源(リソース)」の一資産に他ならないのです。
防虫管理、衛生管理の根幹 |
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だからこそ!
ぼくはこの4要素は重要ですよ、と何度も繰り返して言っているわけです。

今や「情報」は経営資源の一つどころか企業の命である
では、これまでの話をまとめてみましょう。

図にすると、こんな風になるでしょうか。
いいですか?
重要なポイントを話しますね。
衛生管理上の、防虫管理上の、重要な「情報」に基づいて、
「ヒト」、「モノ」といったリソース上の問題に対して「投資(カネ)」することで、
「経営資源(リソース)」を安定化させ、ポートフォリアのバランスを調整する。
そうすることで、経営上の「リスクマネジメント」をはかっていく。
これこそが企業における防虫管理、衛生管理の真実です。
経営上から見た「防虫管理」とは |
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重要なことなので、ポイントごとに箇条書きさせていただきましたよ。
さて、ここで改めて二点ほど強調しておきたいことがあります。
まず一点目。
防虫管理上のデータ、つまり「情報」は、「ヒト」や「モノ」と同様に、貴方の工場、企業を支える非常に重要な「経営資源(リソース)」の1つである、ということ。
もっと言うなら、つまりそれは経営資源上のリスクを示した重要なデータである、ということです。
例えば、貴方の工場の中で文書として蓄積されているような防虫管理結果記録は、まさにそれにあたうでしょう。
それらは一見すれば、ただの数値の羅列に見えるかもしれません。
もしかしたらあなたには、それが何のこっちゃよくわからない、というものかもしれません。
ですがぼくのようなプロが見れば、それはただの数値ではなく、それどころかあなたの企業、工場の何が危険なのか、どんな問題が孕んでいるのか、どんな工場、企業なのかを詳細に示した生データとなります。
だからそれを見れば、ぼくはその工場がどういうものかがわかります。
つまり、「貴方の工場はこういうリスクを潜在的に孕んでいて、ここがウィークポイントです。だから今後はこうしたほうがいいのではないでしょうか」と、その「情報」から即座に分析し、読み取ることが可能です。
実はあのデータは、そのように非常に生々しく、重要なデータだったりするのです。

衛生管理活動とはリターンを求めるべき投資活動である
それともう一点、最後に重要なお話を。
この上の図からも判るように、衛生管理上、防虫管理上の問題。
ここでいう「ヒト」や「モノ」といった「経営資源(リソース)」の問題を解決する、ということは、経営上のリスクマネジメントにおける「投資」活動である、ということです。
企業において「投資」、つまりは「カネ」が如何に重要かは、問われるまでもないでしょう。
であれば、それを如何に有効に使うか、が大切になります。
そもそも「投資」には「リターン」がついてくるものです。
だから、当てずっぽうで意味のない「投資」で、ロー・リターン、あるいはノー・リターンなんて、ばかげています。
もう一度言います。
衛生管理の「改善活動」は企業においての「投資」です。
それは経営のリスクマネジメント上での投資活動であるべきです。
だからこそ、求められるリターンを得ることが経営上、重要です。
そしてこうした「投資」に対しての重要役を担うのが、我々、衛生管理屋、防虫管理屋であるわけです。

まとめ:と「管理」について
うーん、かなり重要なお話をさせていただきました。
これ、ほんと神回じゃないだろうか。
いいですか、非常に重要なお話なので、もっかいまとめますよ。
よーく、咀嚼して読み直してみてください。
えいや!
今日のポイント |
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とまあ、このように防虫管理というものは、企業におけるリソース(経営資源)、つまりは「ヒト・モノ・カネ・情報」を用いて行うリスクマネジメントだ、ということです。
そしてそれによって、最初にお話したように「目的・目標・方針」に基づいてPDCAサイクルを回していく。
これが防虫管理というものの本質です。
ほんと、このことってすごく重要で本質的な話であるはずなのに、このように世ではほとんど言われません。
言われないので、ぼくが繰り返し、何度も繰り返し、訴えていくことにします!
いいですか?
これが企業における衛生管理の、防虫管理の本質であい、真実であり、根幹であり、要訣であり、極意です!
以上、このように当ブログでは食品衛生の最新情報やPCO、防虫対策の知識は勿論、その世界で長年生きてきたプロだから知っているテクニックや業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。
